夏本番を迎え、厳しい暑さが日々続いています。暑い季節は体力を消耗しやすく、体調管理がとても重要です。夏の間に疲れた体をリセットするためには、食べ方の見直しが欠かせません。
厳しい暑さを乗り越えるためには、何を食べるかも大切ですが、「どう食べるか?」が特に重要です。夏の暑い時期には、冷たい飲み物や食べ物を摂(と)りすぎることがあります。アイスや冷たい飲み物は一時的に体を冷やすように感じますが、実は内臓や自律神経に負担をかけることもあります。過度に冷やしすぎることで、自律神経のバランスが崩れ、唾液腺の働きが低下し、唾液の分泌が減少します。唾液は口腔(こうくう)内の健康を守る重要な役割を果たしているため、その分泌量が減少すると、虫歯や歯周病、知覚過敏といった口腔トラブルのリスクが高まります。冷たいものは急いで飲み込まず、口に含んで常温にするくらいの気持ちでゆっくり飲むことをおすすめします。
食事内容を見直し、適切な栄養を摂ることが大切です。冷たい食べ物を控え、温かい食事や飲み物を意識的に摂ることで、体内の温度バランスを整えましょう。
また、食欲が出ないときでも、少量をしっかり噛(か)んで食べることが大切です。噛むことによって唾液が分泌され、消化器官が活発に働きます。消化に必要なエネルギーを体内に取り込むことで、胃腸の働きが促進され、栄養素がしっかりと吸収され、体調が整います。
さらに、噛むことにはもう一つ大きな利点があります。それは、よく噛むことで消化にかかるエネルギーが増え、太りにくくなるということです。また、満腹感を感じやすくなり、食べ過ぎを防ぐことができます。
食事は単におなかを満たすものではなく、体を作り、健康を維持するための大切な時間です。食事を「お口のトレーニング」と意識して食べることもおすすめします。口輪筋や表情筋を使っていることをイメージしながらよく噛むことで、オーラルフレイル予防やアンチエイジング効果も期待できるでしょう。意識的に噛むことは、口腔の健康を守るだけではなく、体の内側から整える大切な行動です。
夏の終わりに向けて元気な体を作るためにも、良食を心がけ、良い食べ方を日々続ける習慣化が大切です。食べること、噛むこと、それ自体が良食習慣への一歩です。
食事を楽しみながら、良食を実践しましょう。
【KyodoWeekly(株式会社共同通信社発行)No.31からの転載】