近年、ペットは「コンパニオンアニマル(伴侶動物)」として家族の一員という位置づけになり、高齢による体力低下や病気、けがなどへの治療ニーズも多様化している。しかし、人間の医療で確立されている義肢装具の技術を動物に応用する例はまだ少なく、四肢の欠損や機能障害に対する治療・リハビリの選択肢は限られてきたという。
そのような背景の中、広島県東広島市にある広島国際大学(学校法人常翔学園・大阪市)のリハビリテーション学科義肢装具学専攻の学生有志が、課外活動団体「動物義肢装具研究会」をこのほど発足した。義肢装具士を目指す学生が、専門知識・技術を生かし、動物病院や動物園などの施設から依頼を受けた動物の義肢装具の製作や適合を行う。動物の生活の質(QOL)を向上させることで飼い主の人生を豊かにし、 地域社会に貢献することを目指すとしている。
同研究会では、リハビリテーション学科義肢装具学専攻で動物義肢装具の研究に従事している山田哲生講師の指導の下、将来、義肢装具士を目指す学生が、獣医師や飼い主と連携しながら、一頭一頭に合わせたオーダーメードの義肢装具を製作していくという。これまで治療が難しかった動物の運動機能回復やQOL向上から、新たな動物医療の可能性を広げていくことを目指す。また、活動を通じて学生が多様な症例に触れることで、義肢装具士として活躍するために必須となる応用力や問題解決能力を養っていくとしている。
現在、両脚の膝の骨を脱臼しているアルパカの装具の開発や、四肢にまひのある猫、高齢により歩行が困難になった犬に向けて車いすを制作。また、右足に欠損のあるハゲコウ(コウノトリ科の大型の鳥)の飛行を可能にする義足を製作しているという。










