カルチャー

東京都美術館でアンドリュー・ワイエスの回顧展アメリカの国民的な具象画家、没後日本初開催

 東京・上野公園にある東京都美術館で、没後日本初となるアンドリュー・ワイエス(1917-2009)の回顧展が4月から開催される。同館の開館100周年記念事業の一環。ワイエスは、20世紀アメリカ具象絵画を代表する画家で、第2次大戦後のアメリカの画壇で主流だった抽象画や前衛表現からは距離を置き、ひたすら自分の身近な人々と風景を描き続けた。日本でも1974年、95年、2008~9年に展覧会が開催され、高い人気を誇る。

 今回の回顧展では、“境界”のモチーフに着目。ワイエスの作品では窓やドアなど、ある種の境界がたびたび描かれるが、それらは個人的な生と死、画家自身の精神世界と外の世界をつなぐものだったと考えられている。ワイエスはまた、身体に障害のある女性や黒人をモデルにするなど弱者に対する優しい目線でも知られる。モデルの年齢層も幅広く、多様性を重視する今の時代に合致する。しかも、ホイットニー美術館所蔵の「冬の野」(42年)、フィラデルフィア美術館の「冷却小屋」(53年)など10点以上が日本で初公開される。

 同展で自身初の音声ガイドを務める俳優の吉瀬美智子さんは、メインビジュアルの「クリスティーナ・オルソン」(47年)について、「初めて見た時に目が離せなかった」と語る。モデルは代表作「クリスティーナの世界」(48年)などで知られる足の不自由な女性。「アンドリュー・ワイエスの作品には、静かな時間の流れや、何気ない風景の中にある確かな強さがあり、向き合うたびに新しい発見があると感じています」と吉瀬さん。

 「東京都美術館開館100周年記念 アンドリュー・ワイエス展」は、4月28日(火)~7月5日(日)に東京都美術館(上野公園内)で開催された後、豊田市美術館(愛知)、あべのハルカス美術館(大阪)などを巡回する。

 チケット料金は一般2300円(前売り2100円)、大学・専門学校生1300円(前売り1100円)、65歳以上1600円(前売り1400円)。18歳以下、高校生以下無料。