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リニューアル博物館を楽しむ 畑中三応子 食文化研究家 連載「口福の源」 

揚げパンとおでん、脱脂粉乳のミルクがセットになった1960年代の学校給食(江戸東京博物館) 

 この春、日本最大級の歴史系博物館が相次いでリニューアルオープンした。

 先史から現代までを六つのテーマに分け、生活や民衆の視点から展示する国立歴史民俗博物館(千葉・佐倉市)は、第5室「近代」を33年ぶりに全面的に見直した。リニューアル前から差別や性差の問題などはきっちり押さえられていたが、この間に進展した研究の成果からジェンダーや多様性、国際交流や環境史といった現代的視角が導入され、人々の暮らしがより立体的に見える構成に生まれ変わった。

ガスや水道が引かれ現代のキッチンに近づいた同潤会アパートの台所(国立歴史民俗博物館)

 

 新しい展示室は、江戸から明治になって私たちは何者になったかを描く「〈国民〉の誕生」、帝国となった日本社会はどのように変容していったかを見る「〈帝国〉日本の社会と人びと」、家族で働くことや故郷を離れて働くことの意味を問う「近代化する人びとのくらしと仕事」の3テーマで構成されている。アイヌ民族、琉球・沖縄、被差別者にも目を向けて独立した展示コーナーを設けた。また、第6室「現代」の冒頭「戦争と平和」がより充実し、戦争が人々の暮らしの中心に入っていった過程が詳らかにされる。

 生活史に重点を置いた展示なので、食に関係する知識も豊富に得られる。日本と朝鮮の間には漁業の交流があり、済州島の海女が日本沿岸の各地で海に潜ってアワビやナマコの漁を行い、技術や生活文化がその地に影響を与えたという知られざる史実には驚かされた。京都西陣の伝統的家屋と当時最先端だった東京の同潤会アパート、大正から昭和にかけての台所を模型で見比べると、炊事がどのように合理化していったかがわかる。

 館内のレストランは古代米を使ったメニューが名物だ。

 大規模改修で4年間も休館していた江戸東京博物館(東京・両国)が復活し、5月24日までリニューアル記念特別展「大江戸礼賛」が開催されている。

 もともと復元模型で体感するエンターテインメント型の展示だったが、映像や音響を駆使することでライブ感が増した。常設展示室の江戸ゾーンでは天ぷら、すしの屋台が再現され、長屋の中に入れるなど、江戸っ子気分をより味わえるようになった。東京ゾーンの1960年代から今日までの学校給食の変遷をたどる展示は、多くの人が思い出を共有できて楽しめるだろう。

揚げパンとおでん、脱脂粉乳のミルクがセットになった1960年代の学校給食(江戸東京博物館)

 

 ショップとカフェ、レストランも新しくなった。カフェメニューでは日本橋「榮太樓總本舗」のあんを使用したスイーツ類、もんじゃを挟んだホットドッグが個性的だ。ショップでは「言問団子」など、本店以外では手に入りづらい下町銘菓が1日限定5箱、さりげなく販売されている。

はたなか・みおこ 専門は近現代の流行食。料理本の編集も。著書に「ファッションフード、あります。」(ちくま文庫)など。

【KyodoWeekly(株式会社共同通信社発行)No.19からの転載】