パソコンでさえ文字フォントが違うと受ける印象が異なるから、手書きならなおさらだ。さまざまな文字、書の魅力を紹介する「文字を愛でる―経典・文学・手紙から―」展が奈良市の大和文華館(近鉄グループ・大阪市)で4月7日まで開催されている。
中国で始まった書の文化は、さまざまな字体や書風で文字を芸術の域にまで押し上げた。中国や朝鮮半島、日本では、文字は情報を伝達するという役割を超え、実用と芸術の両面を包括する芸術文化として発展してきている。
たとえば仏教経典は、仏の教えを正確に伝えるために経文を誤りなく、そして繰り返し書写、経文の文字は「仏」としても認識されてきた。また詩歌の書は、歌に込められた感情が毛筆を通じて文字として表現されることで、文化を担った人々の美意識が直接的に反映された。手紙は書き手の地位や内容によって、史料や名筆として重視されている。展覧会では、経典や文学、手紙を通して文字が担った役割をひもときながら、美しい文字の世界に浸れる。入館料は一般630円、高校生・大学生420円、小学生・中学生無料。