台風や秋雨前線による湿気で髪が膨らむこの頃。なのに空気の乾燥は進んでいて、爪が割れたり、手がカサついたり・・・。われわれ世代の〝女子〟は皆、髪にも爪にも肌の潤いにもタンパク質が大切、と知っています。
そんなわけで今年は、蒸し鶏よりも手軽なゆで卵にハマりました。コンビニ飯になる時も、必ずゆで卵を買っています。子どもの頃にパサついた黄身で喉を詰まらせて以来、食指が動かなかったゆで卵を、好んで作ったり買ったりする日が来るとは。
今年2月、「完璧なゆで卵調理法」がイタリアの研究チームにより開発され、科学誌「コミュニケーションズ・エンジニアリング」で発表されたという記事を読みました。

一般的に、固ゆでは黄身がパサパサになり、半熟は白身が完全に固まりにくい。60〜70度で1時間ゆでる真空調理も白身が完全に固まらない。
一方「完璧なゆで卵」は、黄身は滑らかで、白身もしっかり固まり、真空調理にはない黄身と白身の一体感もあったとのこと。
驚いたことに、熱で損なわれやすい栄養成分、ポリフェノールや必須アミノ酸の含有量が、従来の調理法よりも高いそう。美味(おい)しい上に栄養価まで上がるとは・・・!
そんな「完璧なゆで卵調理法」、これがいかにも〝研究者らしい作り方〟で、とても真似(まね)しようとは思えません(笑)。100度の熱湯の入った鍋と30度の水の入ったボウルを用意する。あとは卵を、熱湯→水→熱湯→水・・・と、2分ごとに移し替えること8往復、合計32分。
いやぁ、面倒くさい。絶対やらない。と思っていたのに、コラムに書く以上、確かめないと気が済まなくなりました。入れ替え時間も含めると実働35分以上。さて、その味と食感は・・・。
出来立てを切って食べてみる。半熟好きとしては、黄身は結構しっかりめですが、本当に滑らかで甘みすら感じます。白身はプルップルで弾力があるのにやわらかい。黄身と白身の一体感とはこういうことか(ちょっと感動かも)。水温計がなく、6往復目くらいに、かなり水温が上がっていることに気づいたので、ちゃんと測ったらもっと美味しくなった気がします。
潤いは、美容面だけではなく、粘膜の健康にも大切なもの。粘膜が潤うと、免疫力アップや感染症予防にも役立つので、タンパク質は老若男女問わずに意識して摂りたい成分です。本格的な乾燥の季節に、「完璧なゆで卵」はいかがですか?
私はというと、これっきりにするつもりが、食べてみたら、まさかの次こそちゃんと測って作りたいモードに。ただ、ゆで卵調理器が間もなく届く・・・。はて。
【KyodoWeekly(株式会社共同通信社発行)No. 41からの転載】

ばば・のりこ 東京都出身。早稲田大学商学部卒業。1997年日本テレビに入社し、情報・バラエティー・スポーツ・料理まで局を代表する数々の番組を担当。2014年7月からフリーアナウンサーとして、テレビ・インターネット番組・執筆・イベント司会・ナレーションなど幅広く活動中。大阪芸術大学放送学科教授も務める。









