-佐藤さんは音楽活動もしていますが、音楽家を演じることについてはどう感じていますか。
すごくざっくりとしたイメージの話ですが、ベートーベンは攻撃力が高め、ショパンは優しい。モーツァルトはその間ぐらいで、どちらにもなれる人という印象です。俺がやっている音楽は、どちらかというと攻撃力が高めなので、その辺りがどうかみ合ってくるのかなとは思います。もし、現代にモーツァルトが存在した場合、俺とは好きな音楽のジャンルが違うんだろうなと思うので、モーツァルトの音楽に対する熱量や思いというものを台本から感じ取っていきたいと思っています。
-モーツァルトとはまた違ったジャンルの楽曲ですが、佐藤さん自身が作曲をするときには、どんなことを考えているのですか。
自分で曲を作るときは、恋愛を歌わないというのは決めています。それは簡単過ぎるから。恋愛の曲は、共感を呼びやすいですし、多くの人に刺さりやすいと思います。ですが、それは誰でも思いつくことなので、あえてやらないようにしています。難しいことをやるのが好きなんです。
-「難しいことをやるのが好き」というのは芝居にも共通している考えですか。佐藤さんが出演する作品は、激しいアクションがあったり、その上で歌唱シーンが多かったりと、ハードな作品が多い印象があります。
昔はそれほど多く舞台を見にいっていたわけでもなかったので、激しいアクションや、多くの歌唱があることが当然だと思っていたところはあったんですが、そうではない舞台もあるんだとここ数年で気付かされました。ただ、俺自身は、ハードな作品の方が生きている感覚や仕事をしている実感があるので、好きなんですよ。それは音楽でも芝居でも一緒です。あまり楽過ぎると生きた心地がしない感じなんです。
-初めて舞台に出演してから約10年がたちますが、自身の中で、舞台に対して一番変化を感じているところは?
(舞台に対する思いは)日々、揺れ動いている感じはします。やっぱり、舞台は一筋縄でいかないものだと思うので、舞台に対する感覚も毎回変わるんですよ。2.5次元作品もたくさん出演させていただきましたが、2.5次元というものに対する考え方も変わりましたし。ただ、星の数ほどある舞台の中で、常に俺が出ている舞台が一番面白いと信じてやってきたことは変わらないと思います。
(取材・文・写真/嶋田真己)
音楽劇「逃げろ!」~モーツァルトの台本作者 ロレンツォ・ダ・ポンテ~は、2月10日~12日に福岡・キャナルシティ劇場、2月21日~3月1日に都内・新国立劇場 中劇場ほか大阪で上演。
公式サイト https://nigero-stage.com/