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野村周平“クロちゃんそっくり”と評判 人生ドラマ劇場「クロちゃんずラブ~やっぱり、愛だしん~」は「満足度が高い作品になった」【インタビュー】

 安田大サーカスの“クロちゃん”こと黒川明人の人生をドラマ化した人生ドラマ劇場「クロちゃんずラブ~やっぱり、愛だしん~」が、Paraviで独占配信中だ。強烈なキャラクターと人間性で世間をざわつかせるモンスター芸人・クロちゃんを丸裸にするべく、本人や歴代マネジャー、仲がいい芸能人や元カノなどの周辺者にインタビューを敢行し、数多く上がってきた“うそのようで本当”の衝撃エピソードをドラマ化した。クロちゃん役を野村周平が演じ、クロちゃんが各話で恋するヒロインを伊原六花、田鍋梨々花、川津明日香、佐野ひなこ、松井愛莉が演じる。クロちゃんの再現度の高さがSNS上で評判を呼んでいる野村に、オファーを聞いたときの心境やクロちゃん役を演じる上で工夫した点などを聞いた。

野村周平 (C)Paravi

-野村さんの演技がクロちゃんにそっくりで、その再現度の高さに驚きました。クロちゃんらしさを出すために、どのように役作りをしましたか。

 実は最初の撮影直前まで、クロちゃんに似せることに対して、どうしたらいいものかと迷っていたんです。監督と、どこまで本物のクロちゃんに寄せるのか、寄せないのか、どうしますか? と話をして、そのまま1日目の撮影日を迎えたのですが、監督も僕もみんなで悩んで、最終的にやっぱり声は高い方がいいんじゃないかという話になったので、そこから声の変化だったり、口の動きを寄せるようにしました。

-クロちゃんに似せるために、具体的にはどんな点を工夫しましたか。

 ぶりっ子のような演技をするとクロちゃんになれるんです。クロちゃんはアヒル口をするので、アヒル口で「うん、うん」と言う練習をしたり、口元から寄せていきました。体形も似せるために体重を増やそうと思って、食べたい物を食べてビールを好きなだけ飲んでという自由な生活をしていたら、少しずつ太ってきたので、この生活が許される役作りは最高だなと思いました(笑)。

-そもそも最初に芸人クロちゃんの人生を描く本作のオファーを聞いたときは、どんな気持ちだったのでしょうか。

 うれしかったのですが、正直「何で僕?」という思いはありました。

-それでもオファーを受けた理由は?

 やっぱりクロちゃんが好きでしたし、台本も訳が分からな過ぎて面白いなと思いました。衣装合わせも「この感じ、クロちゃんぽいね」というふうに、自分たちでいろいろと意見を出し合ったり、考えていったりと自由でしたし、その分、これをしっかりと演じたら、すごく面白いものになるなと思っていました。

-野村さんも多くの意見を出したのですね。

 僕もカメラワークなどのアイデアを、いろいろと出させていただきました。みんなで楽しく意見交換しながら、撮りたいものを撮って、すごく愛が詰まった撮影方法だなと思いましたし、毎回こんな撮影ができたらいいなと思うぐらい充実していて、満足度が高い作品になりました。これだけ面白いことを日本もできるよということを感じ取ってもらいたいなと思える作品になったと思っています。

-クロちゃんも撮影現場に来たそうですが、撮影は楽しかったですか。

 すごく楽しかったです。クロちゃんはクランクインの日とクランクアップの日に来てくれて、初日はクロちゃんが子どもの頃からやっていた必殺技「ビッグサンダーウェーブ!」のやり方を「手は真っすぐではなくて、ちょっと降ろし気味がいいです」と教えてもらいました。クランクアップの日は、僕もだいぶクロちゃんとして仕上がってきていたので、ダブルクロちゃんで「クロちゃんは2人もいらないから!」とソプラノボイスで2人で言い合っていました(笑)。

-実際にクロちゃんに会ってみて印象は変化しましたか。

 昔からクロちゃんのことは好きだったので、最初は、この人は本当にクズなのかな、でもすごく面白いなと思っていたのですが、演じるうちに、クロちゃんは男の欲求をさらけ出している人なんだな、欲に素直に生きていたらああなったのだなと思いました。世の中の男性が、もし我慢をせず欲に忠実に生きたら、みんなクロちゃんのようになると思います。

-クロちゃんの数々の衝撃的なエピソードを演じてみて、共感できた部分はありましたか。

 そもそも、クロちゃんのような欲望を我慢するのが人間という生き物なんだと思います。ああいう欲望を我慢していくのが人間の男だと思っているのですが、クロちゃんの数々のエピソードは、そこの部分が欠如しているので、僕もその部分が欠如すればクロちゃんになれると思いましたし、男性は心なしか、みんな共感するんじゃないかなと思います。男性の三大欲求の塊がクロちゃんだなと思います。

-実在の人物を演じることについて、難しさは感じましたか。

 実在の人物がいる分、役作りはクロちゃんが出演しているテレビを見ればできるので、難しさはあまり感じなかったです。クロちゃんは、すでに人生がドラマ化されている(北野)たけしさんや(明石家)さんまさんほどレジェンド過ぎない分、あまり気負わずに楽しくやらせてもらえたのかなと思います。

-最近、野村さんはクロちゃん役のほかにも、ドラマでモラハラ夫やパワハラ社長役を演じるなど、衝撃的な役柄の演技がSNS上で話題になっていますが、そうした役柄で評価を得ていることへの気持ちはいかがですか。

 実際のことを言うと、僕はそれで評価を得ているとは思っていないんですよ。ただキャスティングをしていただいて、頂いた仕事を全力でやっていたら、そうなっていたという感じなので、キャスティングの方が僕をハメようとしているのかな(笑)。僕としては、もっと人助けをする役とかもやってみたいです。

(取材・文/小宮山あきの)

(C)Paravi