俳優の須賀健太が初めて演出を手掛ける劇団「ハイキュー!!」旗揚げ公演が、8月に上演される。同作は、2015年から21年まで上演され、熱狂を巻き起こしたハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」の熱い思いを一つの形に昇華すべく発足した公演だ。須賀は、演劇「ハイキュー!!」の初演から7作品にわたり、主人公・日向翔陽を演じてきた。そんな須賀が率いる劇団「ハイキュー!!」では、主演に加藤憲史郎を迎え、新たな舞台を作り上げる。須賀と加藤に本作の立ち上げの経緯や意気込み、さらに子役としても活躍してきた2人の共通点などを聞いた。
-劇団「ハイキュー!!」旗揚げの経緯を教えてください。
須賀 ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」(以下、演劇「ハイキュー!!」)が2021年の公演で原作の内容を全て終えて完結したのですが、コロナ禍ということもあり、全公演を終えることができないままだったんです。僕はそのときは出演していなかったのですが、過去に関わらせていただいたということもあり、すごく悔しい思いがありました。そんな中で、プロデューサーさんとお話をさせていただき、これから先も残していきたいとおっしゃっていたので、どうにか僕も参加したいなと。ただ、年齢的なこともあり、日向を演じるのは…ということで、違う形での関わりを考えて、今回は演出という形で参加させていただくことになりました。いまだに夢なんじゃないかと思う瞬間もありますし、不安もありますが、こうした機会を頂けて本当にうれしく思います。
-加藤さんは、須賀さんが長く演じてきた日向翔陽役として出演が決まったときはどのような気持ちでしたか。
加藤 本当にうれしかったのですが、僕でいいのかなという不安も大きいです。分からないことは分からないままにせず、須賀さんやほかのキャストの皆さんと協力して前に進んでいければと思います。
-今回、加藤さんはオーディションで選ばれたそうですが、どのような視点から選んだのですか。
須賀 普段は僕も役者としてオーディション受ける側なので、不思議な感覚でしたが…。2.5次元舞台というものはキャラクターが明確になっているのでそこに合わなければいけないという大前提があります。なので、キャラクターに役者さんが持っているものがフィットするかということ。それから、「ハイキュー!!」は動きの多い作品なので、どれだけ感情を乗せて動けるかを見ながら選ばせていただきました。
-加藤さんはオーディションに参加したとき、どんな心境でしたか。
須賀 めちゃくちゃ緊張していたよね。このまま倒れてしまうんじゃないかというほどの顔をしていたので、「一回、落ち着いてから読んでみよう」って言ったのを覚えている。
加藤 初めから終わりまで緊張していました。(須賀から)「緊張しなくて大丈夫だよ」と声を掛けていただきましたが、全然緊張が解けなくて、ずっと緊張したままでした。
-では、現時点で、須賀さんは本作の演出プランをどう考えていますか。
須賀 今はまだ話し合っている最中ではありますが、僕は演劇「ハイキュー!!」に立ち上げ当初から参加していましたし、そこで(演劇「ハイキュー!!」の演出を務めた)ウォーリー木下さんが作り上げたメソッドが出来上がっていたと思うので、そのメソッドの良かったものを取り入れつつ、新しいことに挑戦していきたいと思います。僕が演出をする意味は、「エモさ」にあると思うんです。なので、そこは演出として取り入れられたらと思いますし、押しつけがましくはならないようにしたいです。この素晴らしい作品をお届けするというのが大前提ですから。そして、「泥くささ」をテーマにしていきたいと思っています。
-加藤さんは、日向を演じるに当たってどのように役作りをしていきたいですか。
加藤 日向はとても明るいので、まずは僕のネガティブなところを直していきたいです。それから、日向は“好き”が行動原理になっていると思うので、物事にどれぐらい関心を持って行動できるかを体感していけたらと思います。日向のように諦めずに最後まで取り組めるように、今から頑張りたいと思います。