NHKで放送中の連続テレビ小説「らんまん」。明治から昭和にかけて活躍した“日本の植物分類学の父”牧野富太郎博士をモデルに、愛する植物のため、激動の時代をいちずに突き進む主人公・槙野万太郎(神木隆之介)の波瀾(はらん)万丈な生涯を描く物語だ。故郷・高知を離れて上京した万太郎は、東京大学植物学教室への出入りを許され、目下、植物学にまい進中。その植物学教室を率い、万太郎の運命を左右する存在となるのが、教授の田邊彰久だ。演じる要潤が、田邊と万太郎の関係、幼い頃から知る主演の神木の印象などを語ってくれた。
-出演が決まったときの気持ちは?
朝ドラは久しぶりだったので、うれしかったです。「まんぷく」(18~19)のスタッフと再会できる喜びもありましたし。台本を読んでみたら、東京大学の植物学教室に関する記述が興味深かったのと、万太郎に対する田邊教授の向き合い方が奥深くて、すごくワクワクしました。
-万太郎と田邊教授が東大の植物学教室で初めて出会うシーンは、和やかさの中に微妙な緊張感が漂っていました。演じるに当たって心掛けたことは?
あの段階では、万太郎にとって田邊教授がどういう存在になっていくのか、あまり明確に示さないように心掛けました。「この人何だろう?」という食えない感じの表情や、「歓迎しているけれど、ちょっと変な顔していない?」という雰囲気を少しずつ入れて。そうやって膨らみを持たせ、「この先、2人はどうなっていくんだろう?」と思わせられればと考えていました。
-そうすると、田邊教授の目には、万太郎はどう映っているのでしょうか。
万太郎は、田邊教授にとって、恐らく「すごくよくできる社員の1人」という感じだと思います。「味方にすると心強いけど、敵に回すと怖い」。そういう思いで接しているんじゃないでしょうか。
-ところで、田邊教授は日本語と英語混じりのせりふを話しますが、難しさはありますか。
語学は僕もずっと勉強してきましたし、監修の先生が細かく指導してくださるので、何とか乗り越えられています。当時の英語を学習した人ならば、こういう英語を話すかもしれないな、という想像をしながらお芝居をしています。ただ、英語と日本語ではテンポが違うので、そこは気を付けています。
-田邊教授を演じる中で、植物に対して興味が湧いてきた部分はありますか。
長く演じさせてもらっているので、だんだんとそういう気持ちが芽生えてきました。もともとは部屋に観葉植物を飾るぐらいで、興味は人並みだったんです。でも、今では自宅前の緑道に生えている花や草木を観察するようになって。その中から新種を見つけて、自分の名前を付けられないかなとひそかにたくらんでいます(笑)。
-万太郎役の神木さんの印象を教えてください。
神木くんのことは8歳の頃から知っていますが、いい意味でその頃から変わりませんよね。真っすぐで、お芝居への向き合い方も真摯(しんし)。僕はお芝居をするとき、割と裏をいくタイプなんですけど、彼はバシッと真正面からくるんです。それを見ていると、本当に純粋だなと。共演者にもスタッフにも、分け隔てなくフラットに向き合う姿勢もすてきで、万太郎にぴったりです。僕もいつも、そんな神木くんから元気をもらっています。