―昨年は、舞台「ライフ・イン・ザ・シアター」で二人芝居という濃密な経験もしましたが、そうした作品を経て、自分の中の成長を感じていますか。
「ライフ・イン・ザ・シアター」は、これまでのどのお芝居よりも純粋に大切にしたいなと思っている経験です。本当にたくさんのものをもらったので、どの作品に対しても、おそらく生きるということに対しても、大きな実りとなるものをもらっていると思います。ただ、それが経験値としてどのくらい僕の中で積み上がっていて、それを僕自身がどう生かすことができるのかというのは、全く分かりません。一つ言えるのは、いつもならば、舞台に入るときは、“丸腰で、僕は何も武器を持っていない”という感覚があるのですが、今回に限っては、気持ちとしては“僕は何かを持っているんだ”という気持ちで(稽古に)入れると思います。
―それはすごく大きな経験ですね。では、ロミオは若さゆえに悲劇的な結末へと向かっていってしまいますが、高杉さんが若かりし頃、若さゆえにしてしまった失敗はありますか。
若さゆえなのかは分からないですが、寝坊がひどかったです(苦笑)。10代の頃は常に眠くて…。歳を重ねると起きられるようになってきたのですが、本当にだめでした。当時、僕は事務所の寮で暮らしていたのですが、僕の部屋には通路に面した窓があったんですよ。寮のみんなが学校に行くタイミングで窓を「コンコン」とノックしてくれて、それでやっと起き上がって、朝ごはんを食べていました。いろいろと試したのですが、窓をノックされるのが1番、起きられたんです。あとは、携帯の着信。着信も絶対に起きられます(笑)。
―2024年の大河ドラマ「光る君へ」への出演も決まっているなど、今作以外にも出演作が相次いでいます。高杉さんが、作品に向かうときは、どんなことをモチベーションにしていますか。
どのくらい作品と役を愛せるかじゃないかなと思います。どの作品にも愛を持って接することで作品をより好きになるので、より良いものを作れると思います。そうすることで、現場の人たちとも打ち解けて、もっともっと好きになる。もちろん、逆に現場を好きになって作品を好きになるという、順序が違う場合もありますが、いずれにしても作品や役を好きになるというのが僕の1番の原動力です。
「ロミオとジュリエット」は、9月13日~24日に都内・有楽町よみうりホールほか、大阪、富山、愛知、福岡、仙台で上演。