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「ディズニーファンである私たちが、ディズニーファンである観客向けたラブレター」クリス・バック監督、ファウン・ヴィーラスンソーン監督『ウィッシュ』【インタビュー】

-今回はお二人の共同監督でしたが、役割分担はあったのでしょうか。また、ファウンさんはタイ出身ですが、アジア的なものを取り入れたところはありましたか。

ファウン 全てにおいて役割分担的なことはしていません。よかったことは、アイデアが浮かんだ時に、すぐに「どう?」って聞けて、一緒に解決していける相手がいることでした。しかも、クリスは100年の半分ぐらいはスタジオにいる人なので(笑)、最高のパートナーでした。私がタイ出身ということで、アニメーションの仕事をしたいと思った時に、「無理だ。不可能だ。そんなキャリアはない」と言われました。なので、アーシャと同じように、主人公が勇気を持って、決して歩みを止めない物語を、いつか皆さんと分かち合いたいと思っていました。それが今回「ウィッシュ」という形でつながったのだと思います。

-アーシャ役のアリアナ・デボーズと、王の声をやったクリス・パイン。この2人についてはどう思いましたか。

ファウン アリアナについては、かなり初期の段階からキャスティングをしました。とても情熱的で、自分の夢を追いかける勢いを持っていました。同時に、喜びと若さと、笑顔にもあふれていました。夢を追う決然とした強さがありながら、決して楽しむことを忘れないという彼女の姿に心を打たれたので、アーシャにもそうした資質が反映できればと考えました。

クリス クリス・パインは、どの作品でもチャーミングですが、この映画でもマグニフィコ王のチャーミングさを見事に表現してくれました。それと同時に、闇落ちしていく様子も見事でした。彼はもともと素晴らしい役者なので、これは驚きではなかったのですが、歌のうまさには驚きました。面白いのは、バーブラ・ストライサンドとデュエットをしている動画がYouTubeにあるらしいので、よかったらぜひ見てみてください(笑)。

-ミュージカルの要素でいえば、『アナと雪の女王』(13)の「レット・イット・ゴー~ありのままで~」のような曲が重要な役割を果たすと思いますが、今回はいかがでしたか。

クリス 曲は、人の心に響くものであってほしいと毎回思って作っています。だだ、大事なのは、ストーリーとちゃんとつながっていること。それが第一に重要なことです。今回、ジュリア(・マイケルズ)が最初に書き下ろしてくれたのが「ウィッシュ~この願い~」でした。それが、この物語が持つエモーショナルな部分を作っていく中で、大きな役割を果たしてくれました。作品全体から、レガシーや歴史と現代性の両方を感じさせるものにしたいと思っていましたが、彼女は現代の人でありながら、ディズニーの名作を見て、音楽を聴いて育って、それがDNAに入っているので、その両方が表現されたこの曲はとてもいいと思いました。

-この映画は、色彩がとても豊かでしたが、色遣いや背景でこだわった点があれば教えてください。

クリス 背景という点では、今回は『ピノキオ』や『白雪姫』(37)のような水彩画のタッチを使ったことが、ディズニーのレガシーに対するオマージュでもありました。ただ、現代性を考えた時に、今のCGのテクノロジーならば、昔はできなかった、背景に入り込むことができると思いました。まるで、観客が絵本の中に足を踏み入れるような感覚。そうした美しいイラストレーションの中に没入できるところが、皆さんに早くお見せしたいところの一つです。

-最後に、日本の観客へのメッセージをお願いします。

クリス まさに、ディズニーファンのへのラブレターとして製作した作品です。100年の間、応援してくれたディズニーのファンに、ディズニーのファンである僕らからの愛をお届けする作品なので、ぜひ見てください。

ファウン もし、自分が追っている夢を忘れてしまった方がいらっしゃったら、この作品から、勇気と希望と、そして喜びを感じ取っていただいて、それをインスピレーションにして夢を再び追っていただけたらと思います。

(取材・文・写真/田中雄二)

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