ー歌舞伎の古典作品と今作のような新作歌舞伎では、演じるにあたっての違いはありますか。
根本的なところは同じだと思いますが、特に原作がある作品はファンの方のイメージと自分自身がやりたいことというのをどう作り上げるかがベースになってくるという違いはあります。
ーでは、本作が1つのお宝を巡る争いを描く物語にちなんで、松也さんにとっての「お宝・宝物」を教えてください。
なんでしょうね(笑)。何につけても好奇心があることが大事だと思っていますので、好奇心ですね。仕事だけでなく、プライベートでも何にでも興味を持つこと。好奇心があることがモチベーションにもつながると思います。
ー最近、大きく好奇心が動いたものは?
自主公演を企画したり、演出したり、自分で色々と考えるということですね。もちろん、いただいたお仕事も大事なのですが、それとはまた別に自分で考えたことに賛同してもらうというのはすごく面白い。今年、そうした公演をやらせていただいたことで、より一層、やってみたいことが増えました。
ー新しいことも多かった2023年だと思いますが、改めて、松也さんにとって2023年はどんな1年でしたか。
今年は新作ばかりでした。そういう意味では、新しい世界を見せていただいた1年だったのかなという気がします。昨年は、舞台にあまり出られませんでしたので、今年は舞台の年にしたいと思っていたんですよ。ですので予定通りではありますが、やはり自分は舞台が好きで、歌舞伎をやっていてよかったと思いましたし、舞台は楽しいと改めて感じました。
ー2024年はどんな年にしたいですか。
例年と変わりなく過ごすというのがまず大事かなと。そのためにも変わらないモチベーションで臨めたらと思います。
ーモチベーションを保つ秘訣(ひけつ)はあるのですか。
年齢を重ねたことで、若い頃と仕事への向き合い方も変わってきて、より一層、責任が重くなっていますが、重くなった責任も楽しむ気持ちを忘れないことです。若い頃はそこで結果を出すことに必死でしたが、それとはまた違った角度で楽しむ。それをどの仕事においても見つけていかれたら、高いモチベーションでいられるのではないかなと思います。ありがたいことに僕は今、たくさんのお仕事をいただけているので、本当に感謝しかないです。
ーなるほど。では、そうした日々の中で、松也さんにとっての息抜きは?
仲間と過ごすこと。それから、自宅で映画をみたり、趣味であるスニーカー集めに没頭している時です。
ー最後に、公演を楽しみにされている方にメッセージを。
多くの日本国民に愛されてきた作品を歌舞伎化できるというのは、とても光栄なことだと感じています。今回、僕は、そうした作品の中でも有名な石川五エ門を務めさせていただきます。とても名誉なことですので、ファンの皆さまの期待以上のものをお見せできるようにみんなでいいものを作り上げたいと思っています。
(取材・文・写真:嶋田真己)
新作歌舞伎「流白浪燦星」は、12月25日まで都内・新橋演舞場で上演。