NHK総合で4月から、夜ドラ「VRおじさんの初恋」が放送スタートする。さえない独身中年男性・遠藤直樹は日々、制服姿の少女のアバター“ナオキ”を操作し、VRゲームに没頭していた。人と関わることが苦手で、VR世界でも一人で過ごすナオキだったが、ある日、天真らんまんな美少女“ホナミ”に恋をする。おじさんが女の子の姿で、女の子のアバターに恋をしてしまったのだ。現実世界とVR世界を行き来する中、直樹は今までと違う人生を見つけられるのか…? 異色のラブストーリーで主演を務めるのは、これがNHKドラマ初主演となる野間口徹。放送開始を前に、撮影の舞台裏や作品の印象などを語ってくれた。
-今までにないユニークな物語のようですが、台本を読んだときの感想は?
台本を読んでみたら、直樹という役が、今まで演じたどの役よりも自分に近い考え方をする人間だったので、驚きました。人と関わりたくないにもかかわらず、コミュニケーション能力の高い人に嫉妬したり、誰かと約束した日が近づくと憂鬱(ゆううつ)になったり…。そういう言動の一つ一つが、とても自分に近くて。ただ、僕は今まで、そういうことを「恥ずかしい」と思って隠してきたのに、今回は「オープンにしていいんだ!?」と。
-直樹をどんな男性だと捉えていますか。
直樹は、現実世界だけでなく、VRの世界でも他人とのかかわりを拒絶し、1人で過ごしてきた人間で、世間的には「社会不適合者」と呼ばれてしまうタイプかもしれません。でも、実はすごく優しい人だと僕は思っています。そんな直樹が、たまたま出会ったホナミに恋をしたことで、少しずつ扉が開かれていく。僕も他人とのコミュニケーションが苦手で、仕事以外のときは1人で過ごすことが多いので、とても共感できるなと。自分以外のものになれる役者の仕事は、僕にとってのVR世界みたいなものですし。
-そんなふうに自分と共通点の多い役を演じる感想は?
圧倒的に難しいです。演じるのはあくまでも直樹というキャラクターであり、僕自身ではありませんから。だから、まず自分と役を切り離すためのフィルターがあり、その上に直樹のフィルターがあり、さらにほかの人物と関わるためのフィルターが…と三重にも四重にもフィルターがかかっている感じです。それでも、あまりにも近過ぎるので、ぽろぽろっと自分がこぼれてしまう瞬間があって。そういうときは、監督に修正していただいたり、カメラマンに指摘していただいたり、皆さんに助けてもらいながら演じています。