
-確かにその通りですね。
そういう意味では、その両方が真実でもあると思います。その中で自分でどうにかできるのは、「自分の考える自分らしさ」なのかなと。自分が「こうしたい」「こういうことはしたくない」と考えることが、自然と「自分らしさ」につながっていくのだと思います。だから、僕自身は「自分の考える自分らしさ」を大事にしつつ、「周囲の考える自分らしさ」については、客観的なイメージとして見ている感じです。
-そんなふうに意識するようになったきっかけは何かあるのでしょうか。
こういう考え方に至ったのは、この仕事を始める前からの蓄積の結果で、明確にきっかけと言えるものはありません。ただ、この仕事をしていると「こういうイメージ」と言われることはよくありますよね。なので、意識的なものは、仕事を始めてからの方が強くなっているかもしれません。
-りせのように「周りに合わせなければ」と考える人は今の世の中に多いと思いますが、間宮さんにそういう時期はありましたか。
改めて振り返ってみると、僕自身はむしろ周囲に合わせないようにしてきた気がします。基本的に、天邪鬼なんです(笑)。10代から20代前半の頃は、オーディションに行って周りが緊張して真剣に台本を読んでいたら、僕は余裕のあるふりをしてみたり、逆にくだけた雰囲気の場合は、張りつめて集中しているように振る舞ってみたり…。そんなふうに、周囲に合わせようとせず、いかに自分のペースを保つかを考えていた気がします。
-そういう心掛けが、現在のご活躍に繋がっているわけですね。では、間宮さんの身近に、りせのように周囲に合わせることに囚われ、自分らしさを出せずに悩んでいる人がいたら、どんなアドバイスを贈りますか。
周りに合わせて自分を抑えて、なにか思いを抱えながら過ごす人生も、周囲を気にせず自分らしく生きる人生も、一度きりという点では一緒です。だから、我慢ばかりするのはもったいないのではないかと、僕の根っこには、そういう考え方があります。だからと言って、常に深く大げさに考えて生きているわけではありませんが(笑)。でも、そんなふうに「有限性」に目を向けてみると、考え方にも変化があるかもしれないですよね。
-すてきなお話をありがとうございます。そんな間宮さんは、アニメの声優をやる楽しさをどんなところに感じていますか。
まだまだ経験不足で、楽しさを感じている余裕はないかもしれませんが…。ただ、実写の作品で「この役が合ってる」と評価いただく場合、皆さんのその熱量の中に、僕自身が重なっていることが多いのかなと思うんです。例えば、ドラマ「イグナイト -法の無法者-」(25)の場合、主人公の宇崎凌と僕を重ねてご覧になる方も多かったのではないかと思います。でも、『BLUE GIANT』のときは、僕抜きで、沢辺雪祈というキャラクターが単独で評価されている感じがあって。その感覚は面白かったです。だから、この作品でも、浦井洸というキャラクターがどんなふうに評価いただけるのか、楽しみです。
(取材・文・写真/井上健一)
