アメリカのニューヨーク・タイムズ紙が「2024年に行くべき52カ所」を発表。皆既日食が見られる北米、オリンピックが開催されるフランス・パリに続いて、日本の山口市が紹介されました。今回の幸せになる旅は、外国人旅行者で混雑が予想される山口市をちょっと避けて、山口県北部に位置する長門市に向かいます。
長門市といえば、2015年にアメリカのテレビ局・CNNが発表した「日本で最も美しい場所31」の一つに選出された元乃隅(もとのすみ)神社があります。
新幹線で下関市に着いた私は、レンタカーを使い海岸線に沿った国道191号を北上、長門市に向かいます。途中、下関市にある「口コミで選んだ、日本の橋ランキング 2015」(トリップアドバイザー)で1位になった角島大橋に立ち寄り、透き通る海と美しい橋を写真に収めましょう。
123基もの鳥居が高台の神社に向かって連なっている元乃隅神社。大鳥居の上部、高さ5mのところにさい銭箱があり、見事投げ入れることができれば願いがかなうそうです。これがなかなか難しい。入らなかった小銭を何度も拾い、ようやく5回目にチャリンと納めることができました。おさい銭でこれほど盛り上がることは珍しいですよね。透き通った子どもの頃の気持ちに戻れます。
元乃隅神社から車で10分ほどのところには、農林水産省が選んだ「日本の棚田百選」の一つ東後畑棚田があります。透き通った空と青い海、緑の棚田のコントラストが絵画のようですよね。初夏の夕日が沈むころには、薄紫の空とイカ釣り漁船の漁火が輝き、さらに幻想的な風景になるそうです。
長門市には、海に突き出た半島のような砂礫でできた平坦な本土側と、対岸の青海島を合わせて仙崎と呼ぶ地域があります。「幻の童謡詩人」といわれる金子みすゞが明治36年に生まれたところです。この世のすべてにあたたかいまなざしを向けていると賞される作品や、みすゞの生活をうかがうことができる「金子みすゞ記念館」を訪ねてください。みすゞの悲運を感じながらも、不思議と心が透き通るような感じがすることでしょう。
仙崎の沖合は、入り組んだ地形と激しい潮流がぶつかりあう日本でも屈指の漁場です。その激しい潮流にもまれて身の引き締まったケンサキイカは、「仙崎イカ」としてブランド化されています。ヤリイカやアオリイカと並ぶ高級なイカで、都会ではなかなかお目にかかれません。美しく透き通った刺し身は、とにかく甘みが強く忘れられない味ですよ。
仙崎ではイカだけでなく、海草をたくさん食べて育つウニも人気です。イカが不漁で入荷がなかったら、ウニ丼を楽しんでください。イカとは異なる磯のかおりをまとった優しい甘さのウニですよ。今回の旅で、お腹も透き通ってしまった私は、イカ御膳とウニ丼を一度に食べてしまいました。反省。
【旅人略歴】
エスコートK…数十年前、旅程管理主任者の1期生として、国内外のツアーをエスコート。現在は生活情報誌の編集長だが、旅の取材だけは自らのカメラを手に、こっそりとデスクを離れ出掛けている。