新たな自転車文化の創造を目指すジャパンサイクルリーグ(JCL=片山右京チェアマン)と、それをサポートし全国で地域創生を手掛ける 三菱地所。過去2年、両者は協力し各地でイベントを開催してきたが、2月には三菱地所の〝お膝元〟ともいうべき東京都千代田区丸の内で「GRAND CYCLE TOKYO丸の内クリテリウム(株式会社フィナンシェ協賛)」を開催する。e-バイク(電動自転車)の試乗会、著名人を迎えてのパネルディスカッション、そしてプロレーサーによるナイトレースなどを予定しているが、会場は東京駅中央口から皇居に向かう「行幸通りエリア 」になる。(後編)
▽東京のど真ん中から発信
行幸通りは、普段は車両通行止めで、皇室行事と外国大使の信任状捧呈式の馬車の列が東京駅から皇居に向かう時だけ道路として使用される 。長さ190m、幅73mで、高層ビルが立ち並ぶ丸の内で、空が大きく広がる癒やしの空間でもある。三菱地所広報部によると、丸の内地区には約4,300の事業所があり28万人が働いているそうだ。同社の小林京太コンテンツビジネス創造部長は「丸の内で働いている人たちと自転車には親和性がある。自転車通勤も増え、丸の内で開催する環境ができてきた」という 。丸の内クリテリウムは、行幸通りの一部と両サイドに通じる公道を使用し、開催される。
東京都も、レインボーブリッジを自転車で渡った昨年秋のレインボーライドに続き、今回の「丸の内クリテリウム」も「グランドサイクル東京」施策に指定している。試乗会では参加者にライディングの楽しさを経験してもらい、パネルディスカッションでは自転車文化の創造にむけ法律、行政、スポーツなど、様々な局面から意見を交換する。さらにナイトレースでは、プロレーサーの妙技とレースの迫力を堪能してもらう。光の演出もある。こうしたイベントを東京のどまん中で開催することで、片山氏は「自転車の新しいイメージを東京から発信する。東京が変われば日本も変わる」と力説する。
▽新たなサポーター獲得へ
JCLには、競技力向上につながる、もう一つの狙いがある。丸の内をベースにしている多くの企業にアピールできることだ。世界最高峰のレース「ツール・ド・フランス」の出場と将来の優勝を目指す「JCL TEAM UKYO」の活動が、今年から本格化する。日本での本拠地を「丸の内」としていることもあり、多くの企業からサポートが得られれば、運営は活発化する。F1ドライバーとして、ビッグマネーが動く世界を見てきた片山氏は、資金を確保するという現実的な視点も忘れない。
「丸の内クリテリウム」が一過性のイベントに終わらず、自転車と地域の共存に育っていくか。片山氏は「多少、時間は掛かると思うが、皇居を回るパレスサイクリングを含め、週末には自分たちが働いている場所で何かやっている、という状況までもっていければ」と構想を明かした。小林部長も「企業や働いている人たちが参加して楽しさを体感し、自転車競技を応援するようになる。そんなイベントにしていきたいし、それを丸の内から発信したい」と抱負を話した。