東京の真ん中、JR東京駅中央口から皇居に向かう「行幸通りエリア」で2月18日、自転車ロードレース「GRAND CYCLE TOKYO 丸の内クリテリウム presented by フィナンシェ」(丸の内クリテリウム)が開催される。当日は、e- バイク(電動自転車)の試乗会や有識者によるパネルディスカッション、プロチームを中心にしたナイトレースなどを予定している。エコな乗り物として再認識されている自転車の一大イベントに、協賛した株式会社フィナンシェの田中隆一取締役COO と、主催者ジャパンサイクルリーグ(JCL)の片山右京チェアマンが自転車の魅力について語り合った。
▽世界王者と同じマシンに
フィナンシェは、ブロックチェーンという技術を使い、スポーツチームや文化、芸術活動などを対象に、数多くのクラウドファンドを運営している。トークン販売による資金調達や、オンライン上のコミュニティーサービスなどを提供。田中氏によると、同社は設立5年目で、自転車ロードレースの競技力向上で世界を目指すJCLに可能性を感じ「一緒にやろう」ということで協賛したという。
実際に田中氏はロード用バイク(自転車)を購入し乗ってみると「楽しいスポーツ。旅行とロードツアーを組み合わせると、コンテンツとしての魅力もある」と感じたそうだ。体を動かすだけでなく「自動車レースとは異なり世界チャンピオンと同じマシン(自転車)に乗れるというのは、大きな魅力だ」とも話す。多少高額とはいえ、自転車の手軽さを表す感想だ。
▽大事なのは応援の気持ち
丸の内クリテリウムの協賛については「トークン保持者にレースのスターターを務めてもらったり、コースを走れる権利を与えるなどの企画も考えたい」という。ただ、田中氏は高校時代に全国制覇の実績もあるスポーツチームに在籍経験があるだけに「トークンを持つことでそのスポーツを応援する、それが本来の目的になることが大事だと思う」とサポートの意義を話す。
自転車ロードレースの競技力向上と同時に、新しい自転車文化の創造を目指すJCLにとって、活動資金の確保は重要なテーマだ。元F1ドライバーの知名度を生かし片山氏は日々、奔走しているが、順調そうに見えていても、単なるスポーツへの協賛はオリンピック以降、簡単ではないというのが業界の見解だ。純粋な応援の気持ちで支援が成立するには、もうしばらく時間が掛かりそうで「JCLが資金をどう使うか、周りは見ている。我々は試されている」と自覚している。
▽世界への一歩踏み出す
世界最高峰のロードレース、ツール・ド・フランス出場を目指し、丸の内が本拠地の「JCL TEAM UKYO」が今年、世界クラスのレースへ船出した。片山氏は「我々は今、野茂投手が1球目を投げたのと同じ瞬間を迎えた」と話した。自分たちの活動を、日本人選手の米大リーグ進出という歴史的な風穴を開けた野茂英雄に例えた。世界を舞台にして活躍してきただけに、こんな表現が違和感なく聞こえる。今回の協賛を機に将来の活動を見据える田中氏も「JCLの発展に合わせ、フィナンシェも成長していきたい」と希望を話した。クラウドファンドで活動資金を調達するのが最近のスポーツ界の潮流で、JCL、フィナンシェ両者の取り組みがほかの競技のモデルになるよう期待される。