三恵技研工業(東京都北区)、Future Materialz(東京都杉並区)、東北大学大学院工学研究科(仙台市)は、小型モーター向けの強磁性窒化鉄系ボンド磁石を開発した、と発表した。「レアアースを全く含まない強磁性窒化鉄の活用」「ネオジム採掘時の副産物であるサマリウムの有効活用」が特徴で、これを用いた小型モーターはネオジムボンド磁石と同等の性能があることが明らかになった、としている。
国内の消費電力の大半はモーターが占めており、温室効果ガスの排出を実質ゼロにするカーボンニュートラル社会を実現するためには、モーターの効率を向上させることが重要だ。モーターの効率はネオジムなどのレアアースを使った強力な磁石を使用することで向上するが、高効率の家電や電気自動車の増加などでネオジム磁石の需要が急増している。また、レアアースは特定の国への依存度が高く、供給リスクもある。こうした状況からレアアースの使用量を減らした強力な磁石が求められている。
強磁性窒化鉄系ボンド磁石は、「強磁性窒化鉄」と「サマリウム鉄窒素」を組み合わせて作られている。両方とも非常に強い磁力を持つ磁石成分だが、通常、異なる磁石成分を混ぜると磁石としての特性が損なわれることが多い。しかし、今回、独自の技術でこれらを一体化し、単一の材料のように機能する磁石を作ることに成功したという。
この成果について、9月24~27日開催の第48回日本磁気学会学術講演会で発表するほか、10月29~31日に幕張メッセで開催される「34th FINETECH JAPAN」に出展する。