――それからの歩みを教えてください。
総合職になると名刺も交換してもらえますし、よりさまざまな人と会い、業務を広げるうち、4年後には課長になりました。所属部署は愛知、岐阜、三重、静岡の4県をカバーしており、担当社員10~13人のうち、女性の総合職は私だけ。
住宅を建築する際には、守らないといけない法律も多く、さまざまな手続きも発生します。また、大きな金額が必要になります。社員が確実に業務を遂行できるよう、コンプライアンスの順守と決め細やかなフォローに注力してきました。加えて、実務職の方には得意なことを磨いてほしいと伝えました。特定の分野で一番優れている社員がいれば、総合職・実務職や性別、年次の関係なく、その業務におけるリーダーになってもらったのです。(その仕組みを)「下剋上」と呼び、リーダーの指示には「御意!」と応じて課長の私も動く。強みを持つリーダーを絶対信頼するスタンスで仕事をしました。

――DE&I推進部長に任命された時の気持ちはいかがでしたか。
えっ、私が! という驚きだけでした。役員の異動発表があった際にDE&Iにかかわる部署が新設されるかも、とは想像していましたが、会社が本気でDE&Iを整えようとしていること自体は、すごくうれしかった。責任ある大きな企業になったんだ、と感慨深く思っていたら、そこで自分が重責を担うことになり、大丈夫なのだろうか、そもそも知識もないぞ、と。そして、愛知を出たことがなかった自分が、初めて単身赴任で東京に住むことになったのです。
――DE&I推進部の取り組みと現状をお教えください。
設立時は、本当に何もない状態でした。一部の部署でダイバーシティに関する取り組みはあったものの、社員の皆さんがDE&Iを理解するところからのスタート。初年度は方針をつくり、DE&I推進が必要な理由を理解、浸透させることが一番重要ととらえています。また、喫緊の課題として、管理職への登用を含め女性の定着を図ることに力を入れていきたい。直近の数値で2.8%となっている女性管理職の割合を30年には10%に上げる目標(※)を掲げています。

――女性管理職の割合を引き上げるために大事なことは何でしょう。
私が入社した時、総合職の女性は一部の技術職などを除けば採用されておらず、女性の人財はプールできていません。まず、人財をプールできて、その先に管理職を増やすという2段階で進めないといけない。今現在、管理職候補になれそうな方がいてもロールモデルが少なく躊躇(ちゅうちょ)してしまい、インポスター症候群(物事を達成し、周囲から高い評価を受けていても、能力はない、評価されるに値しないと自己を過小評価する心理状態)になることもあります。「大丈夫だよ、頑張ってみよう」と周りが背中を押すことが大事で、上司のマインドセットも必要です。本人、上司の双方に働きかけて人財をプールしながら、マインドセットを仕掛けていかないといけないと思っています。
――若い世代をどう支えていきたいですか。
考え方は、世代によってずいぶん変わってきています。50歳前後の人に対しては、「一緒に頑張ろうよ」と支える形になりますが、下の世代は働き方が多彩になり、とらえ方が全然違います。年齢が若いほど、ジェンダーを分けずそのままの能力で上にあがる、自分自身のキャリアパスを描けることなどへのサポートが有効かと思います。時短やフレックス在宅勤務を含め選択肢が多いことが当たり前の世代と、上の世代への支援のあり方は違うので、そこをちゃんと見ていきたいと思います。










