カルチャー

畿内と近国の古代を知る一冊 考古学の最前線

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 考古学研究の進展は目覚ましい。新たな発掘、新発見が報道されることも多く、研究者はもちろん、歴史愛好家の関心は高まるばかり。古代史・考古学研究の最前線をリードし続けている執筆陣による角川選書の「シリーズ 地域の古代」(KADOKAWA ・東京)最終巻、『畿内と近国』が発売された。これでシリーズ6巻完結だ。

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 ヤマト王権以来、歴代遷宮を行いながら、ほとんどの都は畿内に置かれた。世界遺産の古市古墳群・百舌烏古墳群をはじめ、日本最大規模の前方後円墳が集中して造られ、飛鳥寺・東大寺など多くの寺院が建立された仏教の中心地でもあった。製塩・玉作り・紡織のほか、専業的拠点で営まれた手工業生産、律令制国家の情報伝達を担った駅伝制、平城京跡出土木簡が示す文字文化など、畿内の多彩な側面を、発掘成果や文献史料を駆使して明らかにしている。税込み2530円。