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シェークスピアが400年前に植民地主義批判 ミラノ公の復しゅうと再生を描いたロマンス劇で

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 1600年代の作品ですでに植民地主義を批判したシェークスピア。傑作ロマンス劇『新訳 テンペスト』(河合祥一郎訳、KADOKAWA、税込み968円)が発売された。人間社会の理不尽さを批判するシェークスピアの視座、“解像度”の高さに驚く作品の一つだ。

 シェークスピアの最初の一巻本全集の筆頭に掲載された劇であり、単独で書いた最後の作品でもある。弟に裏切られたミラノ公爵の復しゅうと再生、そして植民地支配を描くロマンス劇だ。

 歴史を概観すると、イングランドによる米大陸初の植民地建設が1607年、テンペストはその4年後に書かれている。当時から植民地主義を批判するエピソードをテーマに組みこんでいたわけで、その“先進性”と世界を見る目の鋭さも感じられる作品だ。訳者による徹底した注釈と、シェークスピアが参考にしたであろう作品や関連作も掲載されている。