ふむふむ

知らなかったイランと東京が見えてくる 強権体制と日本の裏面史を追った2冊

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 日本ではあまり報道が多くないイラン。ペルシャの文化や史跡、イスラム教の国、きれいなモスク、という漠然としたイメージが浮かぶが、もっと深掘りしたい人にぴったりの『イランの地下世界』(若宮總著、KADOKAWA、税別960円)が発売された。日本の裏面史が見えてくる『新東京アウトサイダーズ』(ロバート・ホワイティング著、税別1900円)も同日発売。角川新書の新刊2冊が面白そうだ。

 イランの強権体制下の庶民の生存戦略と、広大な地下世界を赤裸々に明かしたのが前者。著者は長年イランに住み、イラン人に向けた日本文化の発信にも力を入れているが、同国の検閲システムは国外にも及んでおり、体制に批判的な日本人はすべて諜報機関にマークされるため、暗部を暴露した本書の出版にあたり著者はペンネームの使用を余儀なくされている。

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 後者は、戦後の日本社会で差別と不正に巻き込まれながらそれを巧みに利用し、財と権力を手にした異端児たちの話。アウトサイダーたちが目撃したこの国の政界・財界・スポーツ界の栄光と破滅。日本の「闇」の最深部をじっくり追ってみよう。