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【農業問題を考える(中)】持続的で地域に資する農業を目指し国民の豊かな食生活を願う「ローカルフード法」 川田龍平 参議院議員に聞く

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 その狙いは「農業の持続的かつ健全な発展に寄与すること」と「農村その他の地域の活性化・食料の安定供給の確保・国民の豊かな食生活の実現に資すること」。

 立憲民主党所属の川田龍平参議院議員が中心になってまとめた「ローカルフード法案」を今国会に提出すべく準備をしているところだという。

 「日本の農業は大量生産・大量供給でやってきたが、自給をしっかりできるような体制を考えていくべきです。県が産地指定して地方が独自にやってきたモノも規模が大きくなってしまい、品種も効率性・経済性を重視するがゆえに、品種が限られるようになっているとの懸念があります。多様な品種を確保する必要があります」と川田議員。

川田龍平参議院議員
川田龍平参議院議員

 種子法のもとで守られなくなっていく在来種を維持して地方の特産を活かしていくような農業を守っていく必要があるのではないか、と川田議員は問題意識を持っている。「作った農作物を地域で消費し、循環させてゆく。地産地消よりもはるかに広い循環を作っていくための法律にしていけないのかという気持ちがあります」

 ローカルフード法と条例とは「車の両輪」

 「在来種をこの法律と各自治体の条例とのいわば“車の両輪”で、種からつくる地域循環型農業を作っていきたいのです」
 「きっかけは、種子法、種苗法の行政が変わったことにあります。在来種が守られていない。国の政策を補完する意味でのローカルフード法なのです」

 戦後の食糧難などを背景に「主要農産物であるコメ、大豆、麦など野菜以外の種子の安定的生産と普及促進のため」制定された種子法は「現代においてその役割を終えている」として政府は2018年、種子法を廃止した。

 種苗法についても、これまで植物の新品種の開発者が利用する権利を独占できるとしてきたものの、農家の利用に関してはOKとされて自由に自家採種してよいと定められてきた。それが見直されて、たとえ農家であっても登録された品種を許可なく使用することができなくなってしまった。改正種苗法は2021年に施行された。

 川田議員によると、立憲民主党はローカルフード法案についての党内手続きを済ませて提出寸前までいったが、自民党を巻き込んだ形で提出したほうがいいということで一旦提出を見送った経緯があるという。「今、自民党の農林族議員10人ちょっとに対して根回ししているところです。議員立法で今国会中に提出したい」

 川田議員は農業生産現場の厳しさを挙げた。「肥料を含めて資材が高騰し、辞めてしまう人が出ているのが現実です。後継者問題もあります。若い人たちに生産の現場に参加してもらう、そういう人たちを増やしていく。自分たちの食べる分だけでも自給してもらう。そうしてもらわないと自給率の低下には歯止めがかからない」

 ウクライナ戦争などがあるなか、「日本も自分たちの食べるものは自分たちで賄おうとすれば、農業の大切さがまたわかるのではないでしょうか。そして国民の教育にもなるのではないでしょうか」。ただし、長期的な視点が必要だという。

 「酪農でも3年経たないと牛乳が搾れない。畑も一緒だと思う。何年も時間をかけて農業を確立してきている。ただ肥料をまけばいいということではなく、長い目線で土壌づくりからやっていかないといけない。それが持続可能な農業につながっていく」

 スマート化、機械化という幻想

 現在の国の農業政策は、「スマート化、機械化の推進でもって問題が解決するかのような“幻想”を抱かせてしまっている。もっと国民が参加して地域性、独自性が発揮されるようにならないといけないと思います」と川田議員は手厳しい。

 川田議員は「文化としての田んぼ」を強調した。「コメ文化。水田を維持しないとコメの消費はますます減っていく。水田だったからこそ、超長期に田んぼを維持できてきた。もし田んぼが畑作になったら日本の稲作は守れなくなります」

 野菜の種の9割は輸入されたものだという。「国内で作れなくなっている。タネ農家が激減し、タネを採ることすらできなくなってしまった。危機的な状況だと思っています」

 「海外からの輸入に依存してしまっては基盤がおろそかになってしまう。そうなっては自立した社会、自立した国とはいえないのではないか。食を支配されては、個人の尊厳、国としての独立を保てなくなる。国益という観点から、自民党内でもそう思っている人たちがいるのだと、(法案の)根回しをしていて感じます」

 食品表示の問題も大切だと川田議員。「添加物が入っているのか入っていないのか、表示を義務づけていくこと。ゲノム編集食品にしても、表示がないと選択の機会が奪われることになる。すでにゲノム編集トマトが学校、障害者施設などに販売戦略として無料配布されているのです。国としてこれを止める手立てがない。ゲノムは遺伝子組み換え作物とは違うというのが国の基本的スタンスだからです」

 学校給食の有機化を目指す議員連盟発足へ

 学校給食について「お母さんたちのオーガニック給食への関心が高い。自治体首長もリーダーシップをとってきている例がいくつもある。例えば、千葉県のいすみ市。市長も職員も研究熱心。学校給食から有機米、有機野菜をという形ができてきている」。

 学校給食を無償にしようという流れがあるが、「給食費は保護者の負担でという役割が学校給食法に書き込まれているが、自治体で独自の取り組みをするところが出てきている」と川田議員は楽観視しているようだ。

 実際、公立学校では過疎化や少子化に悩む地方で子育て世代を取り込む政策として給食の無償化が行われてきたが、都市部でも広がりつつある。無償化を実施する自治体は全国1741自治体のうちおよそ260。保護者負担はこれまで平均で4000~5000円。

 そして学校給食による食育の観点からも「学校給食を有機にするための議員連盟を発足させるべく動いています」と川田議員は明らかにした。

文・桑原亘之介