2023年は、富士山がユネスコの世界遺産に登録されてから10周年。これを記念して、山種美術館(東京)は、富士山を描いた日本画と浮世絵を中心に、同じく日本の象徴である桜を題材とした日本画をあわせた特別展を開催する。
世界文化遺産に登録された正式名称が「富士山―信仰の対象と芸術の源泉」であるように、富士山には神さまと仏さまがいるとされ「富士講」といわれる富士山信仰集団が存在したこともある一方、多くの人々に富士山から得た感動を絵や文字にしたいと思わせてきた。
葛飾北斎と歌川広重の浮世絵は世界的にも有名で、ゴッホら西洋の画家たちにも影響を与えてきた。本展では、北斎の「冨嶽三十六景」より「山下白雨」と「凱風快晴」、広重の「東海道五拾三次」とともに、北斎が富士山というテーマをさらに発展させた絵本「富嶽百景」(個人蔵)を特別に展示する。
近代・現代の日本画でも、富士山は世代を問わず描き継がれるとともに、富士山にこだわって繰り返し描く画家もいる。横山大観の描く「霊峰不二」や小松均の燃えるような「赤富士図」など、巨匠たちによる富士図の共演が楽しめる。
さらに、桜を描いた作品では、山種美術館のコレクションを代表する奥村土牛「醍醐」をはじめ、近代・現代の日本画家が手がけた桜の名品が並ぶ予定。
奥村土牛の「醍醐」のモデルとなった京都・総本山醍醐寺の桜を組織培養した苗木「太閤千代しだれ」が美術館の玄関に植樹されており、来館者を出迎える。
「【特別展】世界遺産登録10周年記念 富士と桜―北斎の富士から土牛の桜まで―」は3月11日(土)から5月14日(日)まで開催される。前期が4月16日(日)まで、それ以降は後期となり、会期中に一部展示替えを予定している。
開館時間は午前10時から午後5時まで(入館は午後4時半まで)。休館日は月曜日だが、5月1日は開館。入館料は一般1300円、中学生以下は無料(付添者の同伴は必要)。そして「春の学割」として、大学生・高校生は500円と本展に限り半額となる。
問い合わせは050-5541-8600(ハローダイヤル)で、受付時間は午前9時から午後8時まで。