カルチャー

多彩な機能を持ちたっぷり楽しめる体験型ブランドショップ 「ヤマハミュージック 横浜みなとみらい」がオープン

 

大画面をキャンバスに見立てた体験空間「Music Canvas」

 「楽器の日」の6月6日、横浜・みなとみらい21地区の新たなランドマークとして注目を集めている横浜シンフォステージ(ウエストタワー1~3階)に、音楽ファン注目の新スポットが誕生した。ヤマハとヤマハミュージックジャパンがオープンしたのは、多彩な機能を持つ体験型ブランドショップ「ヤマハミュージック 横浜みなとみらい」をはじめ、「ベーゼンドルファーショールーム」、大人向けの音楽教室やサロンを含む「ミュージックアベニュー横浜みなとみらい」などの複数の施設だ。


 グランドオープンに先立つ6月4日(火)、現地では「メディア内覧会」が開かれ、今年4月に就任した山浦敦 代表執行役社長が登壇しあいさつした。

MUSIC SHOWCASEの前に立つ山浦 敦社長

 「『ヤマハミュージック 横浜みなとみらい』は、心震える体験を提供し、ブランドの世界観を伝えていくための重要な顧客との接点。今後も国内外においてリアル接点におけるブランド発信の強化を進めていく。みなとみらい21地区は近年、多種多様な音楽関連施設が集中するエリアとなっており、当社が目指す音楽体験の提供との親和性は非常に高い。この横浜シンフォステージには首都圏に点在するヤマハグループの拠点を集約し、グループ内の連携をより強め、新たな価値の創造を加速していく。そうすることで地域のさらなる魅力の向上にも貢献できると確信している」と新施設についての抱負を述べた。


 「ヤマハミュージック横浜みなとみらい」のコンセプトは「誰もが音楽や楽器の新たな楽しみを発見できる体験型の拠点」。山浦社長は2つのポイントを挙げてそれを説明した。


 1つ目は、「楽器未経験者向けの機能を3フロア全体に広げ、一方で楽器愛好者や楽器購入目的の方々にも十分楽しんでいただけるような機能を充実させた。つまり幅広い層の方が思い思いに楽しめる拠点」だということ。


 2つ目は「売り場や音楽教室、イベントができるカフェなど多彩な機能をそろえて、それらをシームレスにつなぐことで、来館前にはお客様ご自身が想像していなかったような音楽や楽器の新たな楽しみを見つけてもらう、いわば『偶発的な発見の創出』」を目指しているということだ。

▽視覚・聴覚・触覚を刺激される新しい没入体験

メディア内覧会で概要説明をする押木正人 執行役楽器・音響営業本部長


 施設の具体的な概要説明は、続いて登壇した押木正人 執行役楽器・音響営業本部長が行った。同施設のフロア構成は、1階が「ベーゼンドルファーショールーム」「ヤマハグランドピアノショールーム」、そして体験エリア「Music Canvas(ミュージックキャンバス)」と大きく3つに分かれている。2階には「ライブ&カフェ」「楽器体感コーナー」「MUSIC SHOWCASE(ミュージックショーケース)」「楽譜・書籍エリア」、3階には大人向けの音楽教室「ミュージックアベニュー横浜みなとみらい」がある。


 山浦社長が1つ目のポイントとして挙げた「楽器未経験者の層を意識した機能」は、1階のミュージックキャンバス、そして2階のライブ&カフェと楽器エリアだ。1階のミュージックキャンバスは音楽の経験を問わず楽しめる5つのコンテンツが用意されており、なかでも目玉は「Music Canvas Show(ミュージックキャンバスショー)」だ。1時間に1回、約5分間上映されるコンテンツで、フロア内の映像、音響、楽器全てが連動することによって、視覚・聴覚・触覚を刺激される新しい没入体験になっている。視覚的な面では縦10m×横14mの巨大なLEDディスプレイに映し出される音を視覚化した映像、聴覚的にはフロア内の全ての楽器が自動演奏することによる楽器の生音とヤマハの音響技術であるAFC(アクティブフィールドコントロール)を採用した37個のスピーカーからの音、触覚面では音を奏でる自動演奏楽器に直接触れ、その振動を感じる体験ができるというしくみ。視覚、聴覚、触覚の3つを同時に使って音楽を体験できるコンテンツは同社としても初めての試みだという。


 「ミュージックキャンバスショー」上映時間以外にも、スクリーンには日本の誇るアーティストによる音楽×映像作品が映し出されており、吹き抜けの開放的な空間に壁一面の大型LEDディスプレイが表現する上質なアート作品はまさに必見だ。

1階Music Canvasの、弦楽器の振動を感じることができる「Hug Me」


 2階の「ライブ&カフェ」は、小さなイベントスペースが併設されたカフェで、コーヒー鑑定士が厳選した本格的なコーヒーや、ヤマハのお膝元静岡の有名茶葉を使用したオリジナルドリンク、充実したフードメニューを味わいながら音楽イベントが楽しめるスペースだ。ワイヤレスヘッドフォンやギター、音楽書籍も用意されており、ゆったりくつろげる。

「ライブ&カフェ」
「ライブ&カフェ」のメニュー例
メディア内覧会では、イベントスペースでボサノバユニットnaomi&goroのミニライブも開かれた


 同じフロアにある「楽器体感コーナー」は、全く楽器を触ったことがない人でも映像を見ながら自分のペースで楽器の音を鳴らして楽しめるスペース。ヤマハの銀座店や名古屋店でも好評のコーナーだが、ここでは4カ所用意され、11種類の楽器(エレキギター、アコースティックギター、エレキベース、電子ドラム、バイオリン、チェロ、サクソフォン、トランペット、フルート、クラリネット、ショルダーキーボード)が試せるという。楽器が演奏できる人でも、他の楽器にチャレンジしてみるのも楽しそうだ。

ドラムの体感コーナー。画面に従って楽器にチャレンジできる

▽250点以上の楽器が並ぶショーケースは壮観

MUSIC SHOWCASEと楽器体感コーナー


 楽器愛好者向けとして用意されたコーナーで、まず注目したいのは、2階楽器エリアの「ミュージックショーケース」。これは約5mの高さのあるガラスケースに同社の250点以上の楽器やオーディオ機器をずらりと並べたショーケースで、実に壮観だ。同社の豊富な在庫の中から目で見て確認でき、楽器を探したいという人にはうれしい機能でもある。また、ショーケースの中には歴史的名器も展示されており、見るだけでも充実感が得られるかも。2階の管楽器のコーナーにはリペアショップも備えられている。


 同じ2階には、楽譜・書籍・小物のエリアも。ここには2万5千冊以上の楽譜があり、横浜エリア随一の品ぞろえ。ピアノ指導者向けの楽譜も4千タイトル以上あるという。また、楽器コーナーの体験者が自宅に帰ってもチャレンジできるように入門者向けの書籍も多数取りそろえている。楽器の手入れ用品や管楽器のリード、ドラムスティックなど小物類のコーナーもあった。

楽譜・書籍・小物コーナー


 1階には2つのピアノショールームがあり、ヤマハとベーゼンドルファー、それぞれの世界観を感じてもらうために、独立した空間として展示されている。それぞれのショールームでは常時10台以上のグランドピアノを展示しており、試弾室や工房も備えている。“ウィーンの至宝”ベーゼンドルファーのショールームには、全世界限定25台しかないという、クリムトの絵が描かれたピアノ「Tree of Life」(税込み3520万円)も展示されていた。また、ヤマハグランドピアノのショールームでは、ヤマハ最高峰のコンサートグランドCFXを個室で試す(予約制・8月まで)ことも可能だという。

ベーゼンドルファーショールームに展示されていた「Tree of Life」

 

 

ヤマハグランドピアノのショールーム


 3階には、ギター、ドラム、ピアノといった大人向けの音楽教室各コースを展開する「ミュージックアベニュー横浜みなとみらい」があり、4タイプ(S/M/L/XL)全17室のレッスン室を完備。レッスンに使用していない時間帯は30分単位で部屋や楽器のレンタルも可能だ。平日は7時半から22時まで営業しており、通勤・通学の前後にも練習に立ち寄ることができるのはありがたい。フロントロビーはまるでホテルのようなラグジュアリーな空間で、廊下なども練習前のチューニングができそうな広々としたつくりになっている。

ミュージックアベニュー横浜みなとみらいのロビー。左手奥にレッスン室が並ぶ

 各施設を回ってみて感じたのは、バラエティーに富んでいて来場者を飽きさせないということ。言い換えれば、たっぷり時間を取って訪れないともったいないということだ。楽器ができる人ならもちろん、たとえ楽器未経験者や初心者であったとしても、1階のミュージックキャンバスで大画面のアートに感動し、自動演奏楽器たちに触れ、2階の楽器体験コーナーで自分もチャレンジし、気に入った楽器があれば書籍コーナーで入門書を探し、カフェで上質なメニューをまったり楽しむ・・・いくらでも時間をつぶせそうだ。そんなふうにシームレスな体験を楽しむうちに、「この楽器、なんか自分に向いているかも」といった、思いもよらぬ発見をする人が生まれても確かに不思議ではない。音楽や楽器に興味がある人は、ぜひ一度訪れてみてはいかがだろうか。

3フロアすべてに複数の入口が。写真は2階フロアの入口