
せっかく旅するなら世界遺産を見ることができたら楽しい。そういう旅人にはどんどんチャンスが増えている。7月6日から16日間、仏・パリのユネスコ本部で開かれた第47回世界遺産委員会では、新たに26件の世界遺産が誕生、遺産を保有する国も170カ国になった。
会議の全日程に参加した世界遺産アカデミー(東京)によると、今回の委員会で新たに文化遺産21件、自然遺産4件、複合遺産1件が登録され、世界遺産の総数は1248件になった。新たに遺産保有国となったのはシエラレオネとギニア・ビサウだ。全体として登録遺産の多様性が特徴で、危機遺産数は減少したという。
新たに登録された遺産は、すでに世界遺産だと思い込んでいる人も多かった、有名なノイシュヴァンシュタイン城を含むドイツの「バイエルン王ルートヴィヒ2世の宮殿群:ノイシュヴァンシュタイン城、リンダーホーフ城、シャッヘン城、ヘレンキームゼー城」や、ミノタウロスの迷宮の神話の舞台としても知られるギリシャの「ミノア文明の宮殿群」、イタリアの「先史時代のサルディーニャ島の葬送の伝統:ドムス・デ・ヤナス」や、フランスの「カルナックとモルビアン沿岸の巨石群」などだ。
また2023年に世界遺産の新しい概念として採用された「記憶の場」としては、今回もカンボジアの「カンボジアの記憶の場:抑圧の中心から平和と反省の場へ」が登録された。クメール・ルージュの歴史を伝える遺産だ。
危機遺産リストに新たに追加された遺産が0件だった一方、エジプトの「聖都アブー・メナー」、リビアの「ガダーミスの旧市街」、マダガスカルの「アツィナナナの熱帯雨林」の3件が危機遺産リストから“脱出”。危機遺産リスト入りした遺産よりも脱した遺産が多かったのは、2021年以来のことだという。