現代のジャズ・ピアノ界の重鎮、ブラッド・メルドーによるビートルズのカバー・アルバムが2月10日(金)に発売された。
『ユア・マザー・シュッド・ノウ:ブラッド・メルドー・プレイズ・ザ・ビートルズ』(WPCR-18585)は、ビートルズ・ナンバー10曲、ポール・マッカートニーのソロ1曲、そしてボーナス・トラックにはデビッド・ボウイの「火星の生活」を収録。税込み2750円。
ジャズの深淵(しんえん)とクラシックのロマン主義とポップ音楽の魅惑をユニークに束ねることで、メルドーは現代のジャズ・ピアノ表現において最も叙情的で親しみやすい“声”を創出してきた。リーダーとしての活動のみならず、パット・メセニーやジョシュア・レッドマンらとのコラボレーションまで、その活動は多岐にわたっている。
特にリーダーとしてはトリオとソロの両方で、コール・ポーターやガーシュイン、さらにはレディオヘッドらの曲に新たな息吹を吹き込み、ジャズ愛好者だけにとどまらない幅広い聞き手を魅了してきた。ニューヨーク・タイムズ紙は、メルドーを「過去20年間で最も影響力のあるジャズ・ピアニスト」と評している。
新たな境地を切り開いているメルドーが新たに挑んだのがビートルズ。誰もが知っているようなヒット曲は見当たらず、「アイ・アム・ザ・ウォルラス」、「フォー・ノー・ワン」、「シー・セッド・シー・セッド」、「恋をするなら」など、通好みの選曲だ。
2019年の『ファインディング・ガブリエル』(WPCR-18208)は第62回グラミー賞最優秀ジャズ・インストゥルメンタル・アルバムを受賞した。
他には、『ジェイコブス・ラダー』(WPCR-18499)、『組曲:2020年4月』(WPCR-18355)、『アフター・バッハ』(WPCR-18004)といったアルバムも発売中。
メルドーは2月7日に日本ツアーを終えたばかり。ジャズやクラシックといったジャンルに収まりきらない彼の“音世界”に日本の聴衆も魅了させられた。