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17年間、君が待ち続けたのは誰? 実在した保護犬の映画『石岡タロー』、全国公開目指す

メインビジュアル
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 昭和39年、茨城県石岡市の東小学校に保護された一匹の犬。「タロー」と名付けられたその犬は、ある日から石岡駅までの2キロの道のりを往復する日課を始めるようになったという。歩道橋を渡り、国道を歩き、踏切を渡り、石岡駅の待合室に入って座り、じっと改札口を見つめ、しばらくすると駅を離れて小学校に戻る――。そんな行動を朝と夕方の1日2回、17年間毎日続けた。タローの駅通いは17年も続いたが、タローが駅で誰を待っていたのかは誰も知ることがなかったが、タローは石岡駅周辺でも顔なじみとなり、多くの人にかわいがられたという。

駅の待合室に座って利用客を見つめるタロー
駅の待合室に座って利用客を見つめるタロー
廃線になった鹿島鉄道の実車両を使った撮影
廃線になった鹿島鉄道の実車両を使った撮影

 「タロー」の物語を一人でも多くの人に見てもらおうと、映画『石岡タロー』の全国の映画館での公開を目指し、同市の「石岡タロー」フィルムパートナーズがクラウドファンディングで支援を5月31日(水)まで募集中だ。映画自体は完成しており、クラウドファンディングの資金をもとに本格的な宣伝と配給準備を行う。今秋の茨城県での先行上映に続き、全国での劇場公開を目指している。

昭和の名車が勢揃いした国道シーンの撮影
昭和の名車が勢揃いした国道シーンの撮影
実際の通りを使って昭和の街並みを再現
実際の通りを使って昭和の街並みを再現

 タローを演じた三頭のうち二頭が保護犬。監督の石坂アツシ氏がタローと同じ犬種(ビーグル・ミックス)にこだわり、保護犬活動も行っているドッグトレーナーが半年以上かけて探し出した。また、ひたちなか海浜鉄道(同県ひたちなか市)の全面協力を得て実際の車両を使用したり、CG(コンピュータグラフィックス)を作成。廃線前の鹿島鉄道の映像を使って25台以上の旧車を使った昭和の国道の再現、実際の通りを使った昭和の街並み・廃校を使った昭和の小学校シーンの再現など、インディーズ映画でありながらスケールの大きい映像にあふれている。

小学校でかわいがられていたタロー
小学校でかわいがられていたタロー

 クラウドファンディングの支援(税込み3000円~20万円まで7コース)のリターンの1つが、石岡市で7月29日(土)に開催される「プレミアム試写会」への参加(支援1万円以上が対象)。タロー役ワンちゃんとの記念撮影や映画に登場する昭和の名車の展示、石岡市の特産品の販売など、1日遊べるイベントを計画している。