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人類史上最大規模の植林プロジェクト 映画『グレート・グリーン・ウォール』公開

ミュージシャンで環境活動家のインナ・モジャさん。 ©GREAT GREEN WALL, LTD
ミュージシャンで環境活動家のインナ・モジャさん。
©GREAT GREEN WALL, LTD

 アフリカと聞いてあなたが連想するものは何? 戦闘が激化しているアフリカ北東部のスーダンでは現在、各国が自国民の退避を急いでいて、ここ数日、関連ニュースを目にした人もいるのではないだろうか。地理的に日本から遠いアフリカにはなじみがないという人も多いかもしれないが、ウクライナ情勢と同様、多くの問題はそれぞれがつながっていて切り離して考えることはできない。

 対策が急がれる気候変動の影響は世界中で表れていて、砂漠化が急速に進むアフリカもその一つだ。4月22日に公開された映画『グレート・グリーン・ウォール』は、そのアフリカに緑と夢“アフリカン・ドリーム”を再生させるために旅に出た、ミュージシャンで環境活動家のインナ・モジャさんを追った音楽ドキュメンタリーになっている。題名のグレート・グリーン・ウォール(The Great Green Wall)は、アフリカ大陸を8000kmにわたって横断する、⼈類史上最⼤規模の植林プロジェクトのことで、2007年から実施されている。22カ国が協力して大地に緑を戻し、人々の生活を安定させるためのプロジェクトだが、ここでも気候変動、紛争、移民・移住問題が複雑に絡み合っている。

©GREAT GREEN WALL, LTD
©GREAT GREEN WALL, LTD

 「すべてつながっている」。映画の中でのモジャさんの言葉だ。気候変動は全世界の問題であり、私たち一人一人も何らかの責任を負っている。映画の舞台となっているサヘル地域では世界平均の1.5倍の速さで気温が上昇していて、気候変動の最前線にさらされている。砂漠化→食糧不足→過激派組織の台頭→移民の増加。氷河融解による海面上昇と同様、気候変動による負のスパイラルを止めるために何ができるのか、この映画をきっかけに考えてみるのはいかが。

 ⽂部科学省特別選定作品。2020年「カンヌコーポレートメディア&TV⼤賞」⾦賞を受賞。東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムほか、全国で順次公開する。

グレート・グリーン・ウォールの地図。©GREAT GREEN WALL, LTD
グレート・グリーン・ウォールの地図。 ©GREAT GREEN WALL, LTD

『The Great Green Wall』(グレート・グリーン・ウォール)

監督・脚本:ジャレッド・P・スコット
製作総指揮:フェルナンド・メイレレス
出演:インナ・モジャ、ディディエ・アワディ、ソンゴイ・ブルース、ワジェ、ベティ・G 他
協力:砂漠化対処条約(UNCCD)
2019年/イギリス/92分
国連「砂漠化対処条約(UNCCD)」グレート・グリーン・ウォール・イニシアティブ