SDGs

年間120トンの廃棄カーテンが資源に 機能性を強化した新しいカーテンとして再生

 「作ったものが、いつか捨てられてしまう」――。ものづくりを続ける中で、どうしても避けられない宿命に、コントラクト家具や客室備品などを手掛ける「河淳」(東京)のホテル事業部 企画開発部リーダー・茂野真幸氏が向き合い、「廃棄されるカーテンを再生し、新しいカーテンとして生まれ変わらせるプロジェクト」に取り組んだ。同社は、廃棄カーテンなどを使用した「循環型カーテンサービス Retex(リテックス)」の取り扱い受け付けを、4月1日(火)にスタートする。

 インテリアカーテンの「ユニベール」(石川県金沢市)、繊維製品業の「エコログ・リサイクリング・ジャパン」(広島県福山市)、リサイクル業の「有明興業」(東京)の3社との共同事業。廃棄カーテンをリサイクルペレットにする際には、温度管理や材料の選別、異物除去などの細かい調整が必要。また再生糸は、強度や品質の面で課題を抱え、高速織機では切れやすく、仕上がりにムラが出ることも。試行錯誤を重ねた“苦節3年”を経て、新たなサービスが誕生した。河淳によると、使用済のカーテンから新しいカーテンを作る取り組みは日本初(3月6日時点、同社調べ)という。

 Retexでは、①廃棄カーテンを回収 ②カーテンや端材を当社の専用工場でリサイクル加工 ③新しいカーテンを生産し販売 という3つの工程を一貫して行う。このサービスは当初、多くのカーテンを必要とするホテルなどの企業向けに開発を進めていたが、廃棄カーテンの回収から新しいカーテンの生産まで、長い期間を要することが課題だった。そこで、①の前に、再生しやすいポリエステルを使用した「認定カーテン」を販売し、“だれでも すぐに”このサステナブルな活動に参加できる仕組みを構築した。認定カーテンは、5万5000円(幅200cmx丈220cm 1.5倍ヒダ 両開き)から販売する。

 これまで衣類以外での活用が難しかった再生ポリエステルを採用した「認定カーテン」は、耐久性・速乾性・そしてシワになりにくいという実用性を備えている。「再生カーテン」は、遮光性・防炎性・耐久性などの基本機能を満たすだけでなく、再生素材特有の自然な風合いをあえて生かしたデザインにこだわった。表地には使えない黒色素材は遮光に利用し、従来品よりも機能性をUPした「遮光カーテン」の開発に成功した。同サービスを利用することで、従来比年間50%のCO2削減と廃棄削減の両立が期待できるという。

 まず、Retexを利用したカーテンの、初年度20軒のホテルへの導入を目指し、クライアントの要望に応える循環生産の相談に応じる。廃棄カーテン(再生ポリエステル)を利用し、レースカーテン、クッションカバー、家具などの商品開発にも取り組むという。