ふむふむ

舶来の明かりと自然が表現する明治の東京の風景 4月12日から「天気を映す明治の東京」展

 停電になると、電気のありがたさをしみじみ実感する。昔は夜になったらさまざまな活動が制限されていたのだと思いをはせるのはそういう時だけだ。時代の転換点は明治時代。当時はその明かり自体が“主役”になれたのかもしれない。東京・小平市のガスミュージアムでは4月12日~6月22日まで、「天気を映す明治の東京」展(東京ガス)を開催する。

 明治8年に東京気象台が業務を開始してから今年で150年。これに合わせ、明治の気象に関する資料をはじめ、ガス燈が登場した明治5年(1872)以降に描かれた作品を通して、舶来のあかりが「月」「雪」「雨」などの美しい自然現象とともに表現された風景を紹介する。

 古くから私たちの暮らしは、雨や風、月の満ち欠け、日照時間などの自然現象に大きな影響を受けてきた。さまざまな時代の人々は、これらの自然現象を見つめ、その変化を日常生活に生かすために工夫を凝らしてきた。江戸時代には自然現象を取り上げた浮世絵が数多く生み出されたが、明治時代に入ると、日中が主な活動時間であった人々の暮らしは、ガス燈が夜の闇を照らすことで変わっていった。夜間でも活動できるようになったからだ。

 ガス燈の光に照らされた東京の街の様子は、小林清親によって始められた「光線画」というスタイルで注目を集め、その後も、自然現象をテーマにした風景画が多く生まれた。光の微妙な陰影を表現した作品は、明治時代の気象の一瞬の変化を現代に伝え、当時の人々の生活空間を感じることができる。入場無料。開館時間は10時~17時。月曜日休館〔ただし5月5日(月・祝)は開館、5月7日(水)は休館〕。

ガスミュージアム