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大人の+7℃の「こども気温」から逃げよう! 熱中症警戒レベルが1段階下がる “いい日陰”とは

 

 緑がたくさんあって、大樹の木陰がある風景は見ているだけで気持ちがいいが、猛暑の戸外で逃げ込める「いい日陰」でもある。サントリー食品インターナショナルが実施した検証実験では、日陰といってもさまざまな種類があって、「いい日陰」では熱中症警戒レベルが1段階下がることが分かっている。

 地面の照り返しの影響は、大人と子どもで差がある。子どもの背の高さで計測した温度が大人と比較して+7℃程度にもなる子ども特有の暑熱環境を「こども気温」と称し、啓発活動を行ってきたサントリーが、屋外で暑さから逃げられる場所として身近な「日陰」に着目。子どもの遊び場における「いい日陰」の条件を明らかにする検証実験を6月末の日中、東京の猿江恩賜公園で実施した。公園内のさまざまな「日陰」の暑さ指数を、子どもの高さで測定・比較したところ、日陰スポットの中で、最も暑さ指数が低かったのは「大きなイチョウの木陰」で、広場中央のひなたと比べると4.2℃の差があった。大きなイチョウの木陰は、複数並ぶ樹高の高いイチョウが大きな濃い日陰を長時間保ち続けることや、周囲に広がる植物の蒸散効果で、暑さ指数が低くなったと考えられている。

 さらに、遊具の下や木陰など複数の日陰で測定を行った結果、遊具の下の小さな日陰と大きなイチョウの木陰では、暑さ指数で2.9℃の差が確認された。熱中症警戒レベルでは、遊具の下の小さな日陰は「厳重警戒」、大きなイチョウの木陰は「警戒」で1段階低い水準。遊具の下では、周囲にある砂・小石の地面や、頭上にある遊具自体が熱を持ち、そこからの放射熱の影響で日陰の効果が低かったと推察されている。一口に日陰と言っても、熱中症警戒レベルの区分が変わるほど、条件により良し悪しがあるということだ。

 建物のそばの木陰になると、熱中症警戒レベルは大きなイチョウの木陰と同じだが、暑さ指数では0.5℃“負け”ていて、大樹の“頼りがい”が浮き彫りになっている。