あらゆる意味で世界の歴史は“移民”でできている。でも「今」だけをピンポイントで見れば、自国民、他国民の区別があって、共存はどこでも大きな問題にならざるを得ない。たとえば在日クルド人。「国を持たない世界最大の少数民族」といわれる彼らの歴史と、在日クルド人社会がわかる『ぼくたちクルド人 日本で生まれても、住み続けられないのはなぜ?』(野村昌二著、合同出版・東京)が11月30日に発売される。
差別や迫害から逃れて日本で暮らすクルド人は、90年代から増加、現在は約2000人といわれている。そのうち半数が「在留資格がない」不法滞在の状態に置かれている。就労ができず、公的医療保険に入ったり、生活保護を受けたりることもできない。そんな状況の中で、在日クルド人の子どもやその家族はどんな夢を持ち、どんな暮らしを送っているのか。「屋根のない収容」といわれる仮放免がどんなものなのか、理解することが状況改善の出発点になるかもしれない。税別1,800円。