父親が子育てに積極的に関わるようになってきている昨今。20~30代未婚男性の4割が、子育てのためにキャリアダウンを受け入れる考えを持っているという調査結果が出た。もっとも結婚後の家計や子育てに対する不安は多く、「異次元の少子化対策」がどこまでこの不安を払拭してくれるのか、未知数だ。
「結婚後の不安」に関する調査(タメニー・東京)は、20~39歳の未婚の男女2400人に、2月9~21日に実施した。「結婚したい」と回答した1969人に、子育てに対する不安があるかどうかたずねると、「不安がある」(30.8%)、「どちらかといえばある」(27.3%)を合わせ男性の58.1%が子育てに不安を感じていた。女性は更に多く69.8%。子育てのために一時的にキャリアを諦めざるを得ない状況になった場合、キャリアダウンすると思うかどうかを聞くと、「キャリアダウンすると思う」(30.8%)、「迷いはあるけどキャリアダウンすると思う」(31.1%)を合わせ、女性の61.9%がこれを受容。一方男性で同様に受容すると考える人は44.6%。女性より17.3ポイント低いとはいうものの、半数近くが子育てを真剣に考えている様子が浮き彫りになった。
家計についての不安も男女共に高く、男性で6割、女性で7割を超えた。2022年の日本の出生数は80万人を下回っており、出生数が80万人を割るのは2033年との見通しが10年以上も早まっている。少子化はあらゆる側面に影響を及ぼす深刻な事態で、「静かなる有事」とさえ呼ばれている。父親の育児休暇取得も少しずつ広まり始めてはいるものの、実際に育休を取る男性はまだ14%前後。経済面だけではなく、子育て世代を取り巻く周囲の意識改革にも取り組む時がきているようにみえる。