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福島・双葉町で高校球児の姿を壁画に 東日本大震災から13年

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 能登半島地震で年頭から自然災害の威力の前にうなだれている今年は、東日本大震災から13年目。被災地の福島県双葉町で、「真の再生」に向けて壁画制作(OVER ALLs・東京)が始まる。描かれるのは、甲子園で双葉町の人々が一丸となって応援した高校球児たちの姿。双葉町の歴史を記してきた旧・歴史民俗資料館の壁面がキャンバスだ。

 双葉高校は全国高校野球選手権大会(夏の甲子園)に1973、80、94年の3度出場した強豪校。だが、震災で2017年度には休校を余儀なくされ、野球部を含む4部も廃部となってしまった。高校は昨年創立100年を迎えたものの、いまだに休校が続いている。

 かつて甲子園を沸かせ、町の人たちの心を一つにした高校球児たちの姿を、震災から13年目の今こそ壁画に描きたいと、元町民のサポートを得て双葉町歴史民俗資料館の大きな壁面への制作を決めた。資料館は、町内から出土した遺跡や現在に至るまでの町に関する歴史的資料を展示していた資料館だが、ここもやはり震災の影響で今は閉館となっている。資料館の壁の真正面はグラウンド。かつて野球やサッカーに打ち込む町の子どもたちであふれていた場所だ。人の姿がない街に壁画を描き、訪れる人を驚かせたい、と、13年を経ても震災前の日常にはほど遠い被災地の「真の再生」の願いをこめたプロジェクト。3月8日完成予定。