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進む高齢化、進まない交代 経営者の病気や死亡による倒産が初の300件超え

 高齢化はさまざまな形でその波紋を見せる。帝国データバンク(東京)の「倒産動向調査」によると、「経営者の病気、死亡」が要因となって2024年に倒産した会社は初めて300件を超えた。経営者の高齢化が背景になっているのはもちろん、社長が交代した割合を示す社長交代率の低迷もあるようだ。

 2024年12月31日までの負債1000万円以上・法的整理による倒産が集計対象。「経営者の病気、死亡」を主因とする倒産は、前年比38件(13.7%)増の316件。全倒産に占める割合も年々高まり、かつては1%台にとどまっていたが、2013年には2%台になり、ここ2年は3%台に上昇している。

 理由の一つは社長の高齢化だ。『全国「社長年齢」分析調査(2023年)』によると、2023年の社長の平均年齢は60.5歳と33年連続で上昇。50歳以上の社長の割合は、2017年の77.2%から2023年には81.0%にまで上昇した。そして社長交代率も3.8%の低水準で推移している。

 同社によると、社長の後継者不在率は、事業承継に関する官民の働きかけが効果をあげたこともあり、近年は改善傾向にあるものの、年齢的に後継者が決まっていることが望まれる70代で28.5%、80代以上で23.2%が後継者不在となっているそうだ。加えて、事業承継の計画中止・取りやめの割合は、社長年齢が70・80代以上と高齢になるにつれて上昇しているという。