
急速に進む情報化社会の中で、生まれたときからAIが当たり前に存在する環境で育っている現代の子どもたち。最近では、夏休みの宿題にAIを使う是非が問われるなど、「子ども×AI」の話題に注目が集まっている。子どもが大人になったときに就く仕事がAIに取って代わられることに不安を感じた親は半数以上で、AI時代だからこそ子どもに発想力や思考力を身に付けてほしいと思う親は8割以上――。スクール型民間学童「クレイバーキッズ」(ランクアップ・東京)が行った「子どもの生成AI活用と将来に関する調査」で、こんな実態が浮かび上がった。
便利な世の中は子どもたちの可能性を広げる一方、子どもの将来を考えたとき、AIとの正しい向き合い方を知らずに使うリスクや、将来、自分の子どもの仕事がAIに取って代わられるのではという不安を抱く保護者も少なくないようだ。調査は、小学4~6年生の子どもがいる東京・神奈川・千葉・埼玉の20代~40代の男女200人を対象に、8月1日~4日にかけて行った。
まず、自分の子どもが生成AIの存在を知っているかどうかについては、全体の半数弱の46.0%が「知っている」と回答した。続いて、自分の子が生成AIを使う場合、連続使用時間として許容できる時間はどれぐらいかを聞いたところ、最も多かったのは「20分~30分」で31.5%。一方で、「5分未満」を選んだ人も30.0%で、上位には大きな差が見られなかった。また2時間以上を選んだ人は3%にとどまった。子どもの生成AI連続使用時間は短い方が良いと考えている人が多い実態が明らかになった。
続いて、自分の子が今後生成AIを使うことに対してメリットとデメリットどちらを感じるかを聞いたところ、「メリットだと感じる」が17.0%、「デメリットだと感じる」が6.0%。「どちらもある(両方感じている)」が63.5%と最多だった。
「メリットだと感じる」「どちらもある(両方感じている)」を選んだ人(161人)にメリットだと感じる理由を聞いたところ、「デジタルを活用する力を養えそうだから」が59.6%で最多。一方、「デメリットだと感じる」「どちらもある(両方感じている)」を選んだ人にデメリットだと感じる理由(複数回答)を聞いたところ、「自分で考える力や思考力が低下しそうだから」が59.0%で最多だった。デメリットだと感じる人(139人)については、次いで「自分で答えを出せなくなりそうだから」が46.8%。子どもが生成AIに依存して自分で考えることを避けてしまうことへの懸念が浮き彫りとなった。
全体に、将来、自分の子が大人になったときに就く仕事がAIに取って代わられることや、就職先について不安を感じたことはあるかを聞いたところ、「かなりある」(13.0%)と「たまにある」(43.0%)の合計が56.0%。あらゆるメディアでAIに奪われる仕事とそうでない仕事に関する情報が飛び交う昨今、自分の子の将来を心配する保護者の心情が明らかになった。
さらに、自分の子に対し、「AIを使いこなせる大人になってほしい」と思うかを全体に聞いたところ、「とても思う」(29.0%)と「少し思う」(47.0%)の合計が76.0%だった。子どもの将来の仕事への不安を考えると、AIを使いこなす必要があると考える保護者が多いようだ。
「AIが普及する時代だからこそ子どもに発想力や思考力を身に付けてほしいと思うか」については、「とても思う」(47.0%)と「少し思う」(39.0%)を合わせて86.0%が「思う」と答えた。そのうちの38.4%が、「小学校高学年まで」に、わが子に「発想力や思考力を身に付けてほしい(ほしかった)」と感じていた。
「思考力」とは主にどんな力が重要だと思うかを全体に聞いたところ(複数回答)、「自分の意見を持つ力」を選んだ人が最も多く74.5%。次いで「問題を発見し、解決方法を考える力」と「想像力や発想力」が同率で60.5%だった。理想的だと思う「子どもの思考力を育てる学び方」の上位3位は、「自分の考えを発表する機会がある」(65.0%)、「チームで意見を出し合う活動」(54.0%)、「好きなテーマを深く掘り下げる学習」(49.5%)だった。考えることはもちろん、自分で考えたことをアウトプットする機会が必要だと考えている保護者が多いことがうかがえた。
クレイバーキッズを運営するランクアップ社は、「メリット・デメリットがある中でも、AI時代の将来を考え、AIとの共存を前向きに捉えながら、子どもにはAIを使いこなせる大人になってほしいと考えている人も一定数いることがわかった。多種多様な情報があふれる中で、これから生成AIと触れ合う子どもが生成AIの使い方を理解し、正しい情報を選び抜けるかは大変重要。生成AIの活用がリスクやデメリットにならないよう、生成AIに的確な指示を出すスキルは今後ますます重要になっていく」としている。
※引用元「クレイバーキッズ調べ」