環境が変わり生態系が変わり、動物たちの行動範囲も変わる。人間の生活圏にひんぱんにクマが現れ被害の報道が絶えない昨今、お話の世界ではかわいいクマも、実際対面すれば当然、動物本来の厳しさを目の当たりにすることになる。クマたちはどんな風に暮らしているのか、旭山動物園の飼育係として25年間働いた経験を持つ絵本作家・あべ弘士さんが、野生のひぐま親子の濃密な時間を描いた絵本、『ひぐま』(ブロンズ新社、税込み1760円)を9月18日(木)に発売する。
北海道に生息するヒグマは、冬眠中の巣穴のなかで出産する。母グマは、春までの約4カ月間、穴から一度も出ず、飲まず食わずでおっぱいを与え、あかちゃんを育てる。春を迎え、5~10kgに育った子グマは、巣穴からいきなり大自然へと出ていく。野生のヒグマはどのように生き、次の世代に命をつないでいくのかを、長年生きものの命と向き合ってきた著者が畏敬の念を持って描いた。
ヒグマの体の仕組みや生態をQ&A形式で分かりやすく紹介した、描きおろしのリーフレットも付いている。
また本書の刊行を記念し、10月4日(土)から東京のブロンズ新社ギャラリー「青銅Room J」で絵本原画展も開催される。