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これからは金銭的報酬だけではダメ? 経営者の約65%が「非金銭的報酬の強化は人材定着に有効」 

 労働力人口の減少や物価上昇により、金銭的報酬だけでは従業員の満足度や貢献意欲を維持しにくい状況が続いている。このような社会情勢の中、企業が優秀な人材を引きつけ、定着させるためには、給与やボーナスといった金銭的報酬だけでなく、キャリアアップの機会、職場環境の改善、福利厚生、そして仕事のやりがいといった「非金銭的報酬」の充実が不可欠といわれている。

 では、企業はどんなことを意識して「人への投資」を行っているのか? 企業は「非金銭的報酬」をどのようにとらえているのだろうか? 「望まない離職」を生まない組織づくりを支援する株式会社OKAN(東京)は、「非金銭的報酬」に関するインターネット調査を行った。調査対象は、ノンデスクワーカーやエッセンシャルワーカーが働く「建設業」「製造業」「宿泊業、飲食サービス業」「生活関連サービス業、娯楽業」「医療、福祉」の5業種の、関東地方在住の経営者・役員515人。

 まず、直近一年間で「人への投資」として意識・注力していることについて尋ねたところ、「金銭的報酬」(68.5%)が「非金銭的報酬」(31.5%)を大きく上回った。この結果は、物価高騰や賃上げ要請といった社会的な背景を受け、企業がまずはベースアップや賞与といった直接的な金銭的処遇の改善を最優先課題としている現状を如実に示している。

 次に、「非金銭的報酬」の重要性について尋ねたところ(複数回答)、最も多かったのは「モチベーションややりがいを高めるため」(36.9%)で、次いで「社員の満足度や幸福度を上げたいから」(34.6%)が続いた。さらに「給与だけでは人材の定着につながらないから」という回答も26.0%を占めており、全体の約8割が「非金銭的報酬」の重要性を感じていることが判明した。多くの企業が、「非金銭的報酬」への戦略的な投資も並行して強化する必要があると捉え、金銭的報酬の限界を認識し始めていることがうかがえる。

 さらに、「非金銭的報酬の強化は人材定着に有効だと思うか」という問いに対し、「とてもそう思う」(13.2%)と「そう思う」(51.7%)を合わせ、約65%が有効であると回答。この結果は、非金銭的報酬に対する「人材定着につながる有効な手段」としての期待値が高いことを明確に示している。

 これらの結果が示唆するのは、企業が今後、目指していく方向性。ベースとしての「金銭的報酬」を確保しつつ、「非金銭的報酬」により人材定着を強化するという、バランスの取れた報酬戦略へとシフトしていく必要がありそうだ。OKANでは、「企業が持続的に成長し、多様な人材が長く活躍できる組織を築くためには、給与だけでなく、働きがいや良好な職場環境といった非金銭的報酬を『人への投資』の中核に据え、その効果を測定・検証しながら戦略的に推進していくことが求められる」と結論付けている。