SNSの功罪はさまざま議論されるが、これは大きな「功」の結果物。X(旧Twitter)の一件の投稿をきっかけに爆発的なブームを巻き起こした、オランダのアザラシ保護施設「WEC:ワッデン海世界遺産センター」、通称アザラシ幼稚園を舞台に描く小説、『アザラシと海の約束』(スーザン・ムスケ著、ハーパーコリンズ・ジャパン、税込み1980円)が発売された。実在のアザラシ保護施設をめぐる書き下ろしストーリーだ。
発端は2024年、一件のXの投稿だった。保護された野生のアザラシたちの様子を24時間ライブ配信するという何気ないYouTubeチャンネルの視聴者が急増し、ライブ配信への寄付もどんどん増えた。センターの職員によると「1日で通常1カ月分の寄付を集めた」のだそうだ。YouTubeアカウントの登録者数は短期間で3000人から42万5000人に跳ね上がり、きっかけとなったXの投稿には26万件を超える「いいね」がついて社会現象になった。
日本でもオランダでも大きな話題になったアザラシ幼稚園。これを物語に、という日本側のリクエストに応えて、オランダの編集部が現地の人気作家スーザン・ムスケ氏をブッキング。現地の風景と日本のファンの思いが融合した物語が完成した。本の収益の一部はWEC(ピーテルブーレンアザラシセンター)の活動を支援するために寄付されるという。










