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老舗酒蔵が挑む“循環型酒造り”の結晶 酒粕を活用した純米大吟醸「廻」が誕生

 福井県大野市の老舗・南部酒造場が、地元農家とともに地域資源を循環させる新たな酒造りに挑んだ。2025年春にスタートした「循環型酒米プロジェクト」だ。その成果として生まれた純米大吟醸「廻(めぐり)」が、3月17日に発売される。

 このプロジェクトの核心は、酒造りの副産物である「酒粕」の活用法だ。酒粕は、これまでも奈良漬けなどの原料として活用されてきたが、今回はこれを肥料として田んぼへ還元。酒粕の栄養を蓄えた土壌で酒米「五百万石」を育て、その米で再び酒を醸す――まさに“酒から生まれた酒粕が酒に戻る”循環の物語を生み出した。

 パートナーとなったのは、大野市蕨生地区で特別栽培米を手がける旭農園だ。酒粕を田んぼに散布し、酒米「五百万石」を栽培。収穫した米を南部酒造場が醸し、純米大吟醸として結実。地域の中で資源が美しい輪を描くように巡る循環モデルを構築した。

酒粕が撒かれた田んぼ

 単なる環境配慮に留まらず、生産者同士の“顔が見える”関係性も本作の大きな魅力だ。冬の仕込み時期には、旭農園の旭政一氏が自ら蔵を訪れ、自分たちが育てた米の仕込み作業を体験。「米づくり」と「酒づくり」の境界線をなくす試みは、造り手の想いをよりダイレクトに瓶の中へ封じ込めた。

 こうして誕生した純米大吟醸「廻」は、酒粕肥料で育った「五百万石」を100%使用し、精米歩合50%で仕上げた一本。商品名には「人・米・酒がめぐる」という想いが込められている。ボトルにはエコボトル、ラベルには再生紙、水なし印刷を採用するなど、環境配慮も徹底した。

 価格は720mlで2200円(税込み)。花垣特約店、直営店、公式オンラインショップで販売され、数量限定での提供となる。次回の発売は来年3月を予定している。