おでかけ

【想像力で旅をする】仮想キャッチボールで遠くの町の人とつながる最先端テクノロジー。バーチャル観光やオンラインツアーより臨場感がある?

旅の醍醐味は、現地のヒト・コト・モノに触れて、自分の世界が少し広がる瞬間にあるのではないでしょうか。今回フォーカスするのは、約600km離れた大阪と福岡で、想像のボールを投げ合ってキャッチボールをする最先端テクノロジー。遠く離れた現地の人と、感情を共有しながら楽しむキャッチボールは、その「リアルな空気感」 とあたたかい交流が魅力です。もしかしたら、一方的なバーチャル観光やオンラインツアーよりも、旅の本質に近いのかもしれません。

こども食堂に開いた福岡行きの「窓」

今回の大阪会場となった「こども食堂キリンの家」は、子ども食堂やフリースクールなどの活動を通じて、学校以外でも子どもたちが安心して集まり交流できる「第三の居場所」として運営されている施設

今回、大阪と福岡をつなぐ「想像の旅」をするのは、大阪府泉佐野市の「こども食堂キリンの家」に集まった子どもたち。行き先は、約600km先の福岡県北九州市にある「片野子ども食堂Ash」。けれど、誰一人として新幹線にも飛行機にも乗りません。

彼らを福岡へ連れていくのは、ソニーの技術を搭載したMUSVIのテレプレゼンスシステム「窓」と、ソニーネットワークコミュニケーションズの高速光回線「NURO」。「窓」に映し出されたカウントダウンが終わり、スクリーンのスモークがふわりと晴れると、その向こうには福岡のこども食堂の景色が広がりました。

大阪と福岡の子どもたちが、「はじめまして」と約600kmの距離を越えて手を振り合い、自己紹介をして心を結びます。

「窓」は、単なるモニターではありません。ソニーの研究開発で培われた独自の映像、音響、通信技術を用いて、人が「本物」と認識する空気感を再現する次世代コミュニケーション装置。大型ビジョンに映し出される人や物は、音声や動きもスムーズで、まるで目の前にいるようなリアリティがあります。

この、同じ空間を共有しているような気配や雰囲気すら感じさせるスムーズさを可能にするのが、「高速で安定した通信が可能なNURO」なのだそう。

最先端テクノロジーがつくるキャッチボールの臨場感

今回の目玉体験「XRキャッチボール」は、手に装着したスマホに現れる「仮想のボール」を、音のガイドを頼りに投げたり受け取ったりする不思議なキャッチボール。床に設置されたスピーカーから「ピッ、ピッ、ピッ、ドン」と音が鳴り、ピッチャーの腕の振り方によってボールの“速さ”が変わります。

最初は大阪と福岡、それぞれの会場で練習からスタート。大阪側の子どもたちは、初めての体験に少し緊張気味でしたが、「ピッチャーっぽく、もう少し大きく腕を振ってみよう」「キャッチャーみたいにしゃがんで構えてみよう」とスタッフに声をかけられながら、徐々に感覚をつかんでいきます。

この「XRキャッチボール」は、視覚障がいのある父親の「息子とキャッチボールをしたい」という願いから生まれたプロジェクト。実際のボールを使わないからこそ、離れた場所にいる人とも、年齢や障がいの有無を越えて一緒に遊べるのが特徴です。

練習を終えると、いよいよ本番。自ら「想像のボール」を作り、ピッチャー、キャッチャー、ミッチャー(記録係)に分かれてキャッチボールを行う「XRキャッチボール」がスタート!

例えば、ピッチャーが「ふわふわ柔らかい綿菓子のようなボール」を想像してゆっくり投げると、ボールの速度は遅くなり、キャッチャーはつぶさないように優しく受け取る。逆に「硬くて丸いフリスビーのようなボール」は、素早く投げてキャッチするという具合。

ミッチャーはその様子を見て、「発想がすごい」「ナイスピッチング」など、感じたことや気づいたことを記録していく。

最初は自分が想像したものを発表する照れくささからアクションが小さく、スタッフの助けに頼りがちだった子どもたち。しかし、徐々にテンションが上がり、後半はみんなで協力して意見を出し合うようになります。

ピッチャーが「地球みたいなボール」「桜の木のようなボール」などと想像すると、重力を感じつつ数人がかりで投げたり、両手を開いて全身で受け止めたり。大阪と福岡で、ひとつの「場」を共有しているような感覚が生まれていきます。子どもたちにも一体感が生まれ、会場は大いに盛り上がりました。

旅先で出会ったような「いま、ここにいる」臨場感

イベント終了後、子どもたちに感想を聞くと、こんな言葉が返ってきました。

「福岡の子たちの動きが、ほんとに目の前にいるみたいにスムーズでビックリした」
「ネットに興味がわいたから、もっと勉強したい」
「ゲームが好きだから、こういうVRみたいな体験が増えたら、楽しみが広がりそう」

見守っていたスタッフが「みんな、人とつながることが本当に好きなんだと改めて感じました。体力的な理由などで遠くまで行きづらい子も、今日のように離れた土地の子どもたちとつながった今回の体験は心に残ると思います」と喜ぶ姿も印象的でした。

旅の新しいかたちの一つ

大阪と福岡をつないだ今回のプログラムでは、子どもたちは一歩も外に出ないまま、遠くの町と人に出会いました。

「『窓』の向こうは、もう福岡なんだ」と目を輝かせる子ども。
「遠くの町に行けない子どもたちにとって、今日の体験は心に残る旅になった」と語る大人たち。

物理的な移動だけが旅ではなくなりつつある今、「テクノロジーで距離を飛び越える体験」は、旅の新しいかたちの一つと言えそうです。

見知らぬ土地の空気を感じること。そこに暮らす人の表情や声に触れること。オンラインで自分の知らない世界とつながりながら、いつか“本物の旅”としてその土地を訪れてみたくなる――。そんな、オンライン体験からリアルな旅へとつながる小さなきっかけとしても、XRキャッチボールは面白い存在かもしれません。

NUROオンラインプログラム『XRキャッチボール』
「NUROオンラインプログラム」は、ソニーネットワークコミュニケーションズが展開する社会貢献活動の一つ。高速光回線「NURO」とソニーグループのテクノロジーやコンテンツを活用し、離れた場所にいる子どもたちをオンラインでつなぐ体験プログラムです。地域や家庭環境による体験機会の格差が社会課題となる中、通信技術を活用して距離の壁を越えた交流や創造的な体験を提供し、人とつながることで広がる可能性を子どもたちに実感してもらうことを目的としています。『XRキャッチボール』は、音を頼りに「仮想のボール」をやりとりします。
https://www.sony.com/ja/SonyInfo/design/stories/XR_catch/

画像素材:PIXTA


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