
奈良県吉野町の金峯山寺が5月13日、奈良国立博物館の庭前で火の力を通して願いを仏さまに届ける大護摩供を行った。同館で開催中の「神仏の山 吉野・大峯―蔵王権現に捧げた祈りと美―」に出陳する同寺が特別に営んだもので、大空に向け燃える炎が、立ち会った多くの人々を祈りの世界にいざなった。
この日行われた「慶讃大峯秘宝採灯大護摩供」では、山伏の格好をした僧侶や修験者ら約250人が、奈良公園内の奈良春日野国際フォーラム甍を出発。ほら貝を吹き鳴らしながら練り歩く大行列に、海外からの観光客も目を留め、写真を撮るなどしながら興味深そうに見入った。
会場では、五條良知管領を導師に大護摩がたかれた。杉の枝が赤色に変わり、もうもうと煙が上がった後、燃え盛る炎の前で僧侶や修験者の読経が響きわたると、一帯は厳粛さに包まれた異空間に。立ち止まり、目を閉じて手を合わせる人の姿も見られた。

大護摩供を終えた五條管領は「今回の展示で、吉野・大峯中心に1千年以上続く先人たちの祈りを伝える出陳、出開帳がかなった。大護摩供で感謝をささげたい」とあいさつ。奈良国立博物館の井上洋一館長も参列し、「博物館の展示で学び感じていただいた祈りの世界を、今に生きる営みとして体感してもらう貴重な機会になった」と語った。
「紀伊山地の霊場と参詣道」としてユネスコの世界遺産にも登録されている吉野・大峯の秘仏や修験道、祈りにまつわる先人の宝物を展示した、「神仏の山 吉野・大峯―蔵王権現に捧げた祈りと美―」は、6月7日まで。5月12日までに6万5000人以上が訪れた。藤原道長が蔵王権現に捧げるために霊山「金峯山」に埋納した直筆の「紺紙金字経」(国宝)も、修理後初公開されている。










