ビジネス

空港の〝居場所〟-成田国際空港「SHIKISAI GARDEN」- 森下晶美 東洋大学国際観光学部教授  連載「よんななエコノミー」

 今年4月、成田国際空港に待ち時間を楽しむための施設「SHIKISAI GARDEN」がオープンした。成田空港は1978年に開港、その後ターミナルビルの改修や増設などを行い、現在の3ターミナル体制となったが、最も古い第1旅客ターミナルの最後の大規模改修は2006年、この年のインバウンド数は733万人であることを考えると、4000万人超にもなった現在、施設がやや実情に合わなくなってきていた。

 成田空港は日本の玄関となる国際空港として旅客の乗降に関する設備・運営は段階的に拡張してきたものの、待ち時間に楽しめる施設が少ないことが課題の一つでもあった。世界の空港には乗り継ぎ時間や待ち時間を意識したエンターテインメント性の高い施設を持つところも多く、ミュンヘン空港(ドイツ)のビール醸造所&ビアガーデンやチャンギ空港(シンガポール)の屋内ガーデン&散歩道などは旅行者の人気も高い。

 慣れない海外旅行では空港に早めに着きたいという旅行者は多く、国際空港ではどうしても待ち時間が長くなることが多い。成田空港の調べでも出発時、3時間以上前に空港に到着している旅行者は多く、外国人では46%と約半数、そのうち5時間以上前に到着するとした人も17%いた。その待ち時間をいかに使うか、特に帰国する外国人にとっては、空港は日本旅行の最後の場所でもあり国の印象の良しあしにもつながる。

 今回オープンした「SHIKISAI GARDEN」は第1ターミナル中央ビル5階にあり、〝日本の文化と精神性を育む豊かな水と四季の移ろい〟をテーマに、畳やリクライニングチェアなどでゆったりと過ごせるリラックスエリア、足湯のある展望デッキ、竹林をモチーフにしたデジタルアートなどがあり、いずれも無料で利用できる(キッズエリアを除く)。

飛行機を見ながら入れる足湯(筆者撮影)

 先日、筆者もこの施設を訪れてみたが、平日の午後という時間帯にもかかわらずリラックスエリアや展望デッキは多くの人で賑わっており、その半数以上が外国人だった。思い思いに畳に寝転がったり、飛行機を眺めながら足湯を楽しんだりする様子は見ていてなんだか微笑ましい感じもした。

 これまでは大きな荷物を抱え床に座っている外国人も散見され、楽しいとかリラックスとかいう雰囲気とは程遠かったが、こうした施設により空港の待ち時間も最後の良き日本体験に変わる。海外旅行では何かと緊張を強いられることも多いが、空港に居場所があるということも旅行者にとって安心材料となる。「最後まで安心して楽しめる日本」を象徴する施設になってほしい。
(東洋大学国際観光学部教授 森下晶美)

【KyodoWeekly(株式会社共同通信社発行)No.26からの転載】