まめ学

健康寿命に関わる「フレイル」調査を実施 40~50歳代など“働き世代”へも警鐘を鳴らす

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 近年、筋力などの身体機能や活力の低下から生じるフレイルに伴うさまざまな健康障害や要介護などの社会保障費の増大が懸念されている。日本生活習慣病予防協会(東京)は、コロナ禍が始まって以降、生活環境の変化により生活習慣病リスクがどの程度変化したのかを探るため、さまざまな実態調査を行ってきた。その一環として、超高齢社会を迎えているわが国の喫緊の課題であるフレイルに焦点を当て、働き世代のフレイルおよびプレフレイル(フレイル予備群)リスクについて調査を実施した。

 フレイルとは、加齢に伴い、筋力や心身の活力が低下し、介護が必要になりやすい、健康と要介護の間の虚弱な状態のことで、「要介護予備群」と位置づけられることもある。調査は、3月27日~4月26日の期間に、フレイルに関する患者とも接点が多い内科医、整形外科医に加え、働き世代と直接接していることが多い産業医を対象にインターネットで行い、各110人、合計330人から回答を得た。

 同協会の理事で東京慈恵会医科大学附属柏病院院長の吉田博氏は、調査結果からリスクのある年齢層として60歳以上だけでなく、「50歳代」「40歳代」の“ミドル世代”を挙げた医師が少なくなかった点に注目する。この世代ではメタボや非アルコール性脂肪性肝疾患などが懸念されるのが一般的だが、医師たちがプレフレイルにも高い関心を持っていることが分かる。その理由として、コロナ禍で通勤しなくなった人が増えたことによる身体活動量の低下を指摘。たとえ内臓脂肪が増えていなくても、筋肉量が減少するとさまざまな代謝異常が起きる。コロナ禍で、“隠れメタボ&フレイル予備群”が増えている可能性があるのだ。さらに、食習慣の悪化も要因に挙げる。手っ取り早い安価な食事は炭水化物中心になりやすく、たんぱく質不足で筋肉量の減少につながるため、たんぱく質の摂取を推奨する。フレイルは、適正な摂取エネルギー量と栄養素を考えたバランスの良い食事、運動習慣などにより、予防あるいは改善することができる。