カルチャー

戦場は日常でできている よりリアルに伝える『晴れ、そしてミサイル』

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 ウクライナやアフガニスタンの報道に触れながら、戦争に思いを巡らせる機会は多い。倒壊した家屋や避難する市民の映像を見て、戦争のイメージが固まっていくが、実際に戦地で仕事をするカメラマンの視線で見ると、違った側面が見えてくる。『晴れ、そしてミサイル』(渡部陽一著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の電子書籍が発売された。紙書籍は10月中に発売される予定。

  ニュースやSNSで目にする衝撃的な映像。映画で描かれる悲惨な戦地。だが、実際に戦争が起こっている場所に身を置く著者は、まったく異なる戦地の日常を見ている。たとえばウクライナ首都キーウのショッピングモール。2022年2月に侵攻が始まって半年、ウクライナの東部では激戦が続いていたが、ショッピングモールの中にはしばらく戦争中とは思えない光景が広がっていた。だがこのキーウ中心部で、ミサイル攻撃と見られる爆発が起きた。

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 イラク戦争のさなかでも、病院の産婦人科に取材に行くと、子どもの誕生を喜ぶ人たちの笑顔がたくさんあった。戦場カメラマンである著者が、たくさんの写真や動画とともに戦争とふつうの日常が共存する戦場の「本当」について語る。そして日常と隣り合わせだからこそ、世界のさまざまな場所で起きる戦争を対岸の火事と捉えず、平和のためにできることを考える必要があると、改めて思わせてくれる一冊だ。税込み1760円。