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デジタルネットワークはもろ刃のつるぎ『search #サーチ2』/ダリオ・アルジェント監督10年ぶりの新作『ダークグラス』【映画コラム】

『ダークグラス』(4月7日公開)

(C) URANIA PICTURES S.R.L. e GETAWAY FILMS S.A.S.

 伊ローマで娼婦ばかりを狙った猟奇的な連続殺人事件が発生する。4人目のターゲットとなったコールガールのディアナ(イレニア・パストレッリ)は、ある夜、謎の人物にしつこく追い駆けられた末に、後ろから車に追突される大事故に遭う。

 一命はとりとめたものの両目の視力を失ったディアナは、同じ事故に巻き込まれて両親を亡くした中国人少年のチンとの間に特別な絆が生まれ、2人は一緒に暮らすことになる。だが、そんな彼女たちを殺人鬼が付け狙う。

 『サスペリア』(77)『フェノミナ』(85)などで知られるイタリアンホラー(ジャッロ)界を代表するダリオ・アルジェントが、10年ぶりに撮った監督作。事故で視力を失ったヒロインがサイコパスな殺人鬼に脅かされる“見えない恐怖”を描く。

 キーワードは、日食、サングラス、鮮血、ナイフ、犬、盲目、娼婦、少年…。アルジェント監督の娘のアーシアも、ディアナを支える歩行訓練士役で出演している。

 アルジェント映画の特徴の一つである、独特の映像美と印象的な音楽で見せるという手法は全く変わっていなかった。ある意味、無類の頑固者。特に今回のアルノー・ルボチーニの音楽は、『サスペリア』のゴブリンをほうふつとさせるものがあった。

 ストーリー的には、『暗くなるまで待って』(67)と『グロリア』(80)を足して二で割ったような印象で、往年のアルジェント映画に比べれば、残酷描写も含めて随分緩くなっている気もするが、80歳を過ぎて、まだこういう映画が撮れることに驚かされた。

(田中雄二)