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最終章にたがわぬ盛りだくさんの内容 最大の見どころはジェイソン・モモアの怪演『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』【映画コラム】

『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』(5月19日公開)

(C)UNIVERSAL STUDIOS

 約20年間続いてきた「ワイルド・スピード」シリーズが、ついに最終章を迎え、その前編となる『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』が5月19日から公開となる。監督はルイ・レテリエ。

 ドミニク(ビン・ディーゼル)は、妻のレティ(ミシェル・ロドリゲス)と息子のブライアンと共に静かに暮らしていた。だが、そんな彼の前に、かつてブラジルで倒した麻薬王レイエス(ホアキン・デ・アルメイダ)の息子ダンテ(ジェイソン・モモア)が現れる。ダンテは、ドミニクから全てを奪うため、彼の愛する者へ矛先を向ける。

 このシリーズの主要作品は、今では「ファスト・サーガ」と総称される。サーガとは、例えば「ゴッドファーザー」シリーズのように、一家一門の歴史を系図のように描く大河作品のことだが、ストリートカーレースを描いたシリーズ初作の『ワイルド・スピード』(01)が、やがて派手な強盗やスパイの物語へと転換し、激しいアクションを主体にファミリーの絆を描くシリーズになるとは誰も予想できなかった。

 ドミニク役のディーゼルですら、「1作目の映画は、撮影を行ったロサンゼルスのみが舞台の物語だった。世界的な影響力や魅力があるとは思ってもみなかった。その後、世界中を旅して家族というテーマを取り上げていくことになるなんて全く考えていなかった」と語っている。

 一方、プロデューサーのニール・H・モリッツは「1作目の撮影を行ったロサンゼルスから、世界中の撮影ロケを経て、今回ロスに戻って1周したことになった」と語る。

 そんなシリーズの劇的な変化を象徴するかのように、本作の舞台も、ロンドンからローマ、トリノ、ポルトガル、南極、そしてロサンゼルスと目まぐるしく変化する。中でも、燃え盛る鉄球爆弾がローマ市街を転がっていくさまは圧巻だった。

 さらに、今回は最終章ということで、アクションはもとより、ドラマ部分にも力が入っており、これまで描かれてきたさまざまな要素を入れ込んだ集大成の感がある。