『ツイスターズ』(8月1日公開)
ニューヨークで自然災害を予測して被害を防ぐ仕事をしている気象学の天才ケイト(デイジー・エドガー=ジョーンズ)は、学生時代に起きた竜巻に関する悲しい出来事についてのトラウマを抱えていた。
だが、故郷のオクラホマで史上最大規模の巨大竜巻が連続発生していることを知った彼女は、学生時代の友人ハビ(アンソニー・ラモス)に頼まれ、竜巻への対策のため故郷へ戻ることに。
ケイトはハビや新たに出会ったストームチェイサー兼映像クリエーターのタイラー(グレン・パウエル)らとともに、前代未聞の計画で巨大竜巻に挑む。
竜巻が多数発生したオクラホマを舞台に、知識も性格もバラバラな寄せ集めチームが、“富士山より高く、新幹線より速い”超巨大竜巻に立ち向かう姿を描いたアクションアドベンチャー。
『ミナリ』(20)のリー・アイザック・チョン監督がメガホンを取り、『レヴェナント 蘇えりし者』(15)のマーク・L・スミスが脚本を担当。製作総指揮はスティーブン・スピルバーグほか。
『ツイスター』(96)以来、28年ぶりの“スピルバーグ印”の竜巻映画。その間、VFXの発達があり、竜巻を扱う映画も増えたが、竜巻の見せ方、スペクタクルとしての面白さ、人物描写など、やはりスピルバーグ印の映画は、いろいろな意味で一味違うと感じさせられた。
さて、この映画と『ツイスター』との直接的なつながりはないが、共通点は前作の竜巻観測機の名前と今回の竜巻破壊装置の名前がどちらも「ドロシー」であることと、劇中で映画が上映されているところ(『ツイスター』は『シャイニング』(80)、この映画は『フランケンシュタイン』(31))。
なぜドロシーかというと、ドロシーは『オズの魔法使』(39)でジュディ・ガーランドが演じたヒロインの名前で、『オズの魔法使』は彼女が家ごと竜巻に巻き込まれて、不思議な「オズの国」に飛ばされる話だから。つまりアメリカではドロシーは竜巻のイメージの象徴なのだ。
おまけに、この映画では、竜巻追跡チームの中にスケアクロウ(かかし)やティンマン(ブリキ男)、ライオンといった『オズの魔法使』のキャラクターの名が付けられた分隊までがあるという徹底ぶり。そんなディテールも面白かった。
※日本語吹き替え版を担当した小芝風花と津田健次郎のインタビュー掲載中。
(田中雄二)